周りを見ても何もない
一面真っ白で静かな
この部屋で僕は目覚めたんだ
何も思い出せない
名前も家族のことも
一つだけ分かるのは
生きてることだけ
そして腕にあるNo.2の印
僕は何の為にここにいるんだ
食事は毎日研究者らしき人が
運んでくるけど
僕の話は聞かない
まるで避けるように
逃げていく
ある日隣から聞こえてきた
壁越しに話しかける君の声
僕は返事をした
話をする相手が欲しくて
二人は出会った
君は僕と同じ状況なんだって
腕にはNo.1の印があるって事を
教えてもらった
君の姿はわからないけど
いまの僕には
君の声がとても暖かくて
不安な気持ちが和らいでいった
お互いに支えあって
毎日が楽しかったんだ
でもいつしか君の声が
聞こえなくなったんだ
とても寂しくて
とても不安で
泣きたくて
涙を流した
それから何日か経った頃
研究者の人達は僕を拘束し
別の部屋へと連れ込む
さっきまでの真っ白な部屋とは
まったく違う
辺りは真っ暗で何も見えない
研究者からは拳銃を渡され
しばらく途方にくれている僕は
闇の向こうから響く
銃声が聞こえた
頬をかすり
死への恐怖が押し寄せ
その場に下手りこんだ
逃げたくても
辺りがまだ闇で慣れず
反射的に銃声が聞こえた場所に
拳銃を放っていった
それが相手に当たり
うめき声が聞こえた
殺らなければ殺される
そう思い何度も何度も
拳銃を放っていった
相手が倒れた音が聞こえ
初めて人を殺したであろう
その状況に僕はやっと
闇に目が慣れていった
僕を撃とうとしたのは女だった
なんでこんな事をしなければ
ならないのか
頭が狂いそうになり
頭を抱えた僕の
目にうつったのは
腕にあるNo.1の文字
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