空気が揺れるような暑い夏の
ひっそりとした路地にある
大きな屋敷の木々に遮られた
涼しくて暗い坂を歩く
苔むしたベージュの壁に
ひとり張り付く蝉の抜け殻が
きっと私は羨ましいのだ
鬱屈とした土の中の
好きになれない身体から
夕暮れに這い出て
ほとんどちがういきものになって
空を飛んで大声で叫ぶ
蝉がきっと羨ましいのだ
それでも私は虫ではなくて
だからこれから
勉強しに行かなければいけない
自力で変わるために
坂の終わり バス停に着いた
生物の教科書を開くと気づく
蝉は不完全変態のいきものだ
もしかしたら蝉は
自分では知らぬまま
飛び立っているのかもしれない
バスが来た
行ってきます!
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