私はレン君に事情を話す。長い話をレン君は静かに
聞いてくれた。
話終えるとレン君は。
「最低だ!そのマスター最悪だよ!」
「酷いでしょ?しかも脅して契約を切ろうとしたんだよ!?」
「ぶん殴りてぇ・・・・!」
レン君は指をパキパキと鳴らす。
私はチェーンについているキーホルダーを見つめる。
そういえば、彼に会ったのも確か雨の日・・・・。
「私、契約切られたらどうしよう・・・・!」
「契約を切られるとどうなるの?」
「話せなくなる上に動けなくなる・・・・。」
「あ~・・・・そうなんだ・・・・。あ!」
レン君は何か思いついたのか、指パッチンをした。
「なら僕ところおいでよ!博士が何とかしてくれるかも!」
「博士?」
頭にクエスチョンマークが浮かぶ。
「そう!僕を作ってくれた博士だよ!」
「作ってもらったの!?」
「博士天才だからね!あ、大丈夫。博士オタクじゃないから!」
「う、うん・・・・。」
何か心を見透かされている感じがした。何故だろう。
私と同じボーカロイドなのにこの感情的な声は・・・・。
「さ、早く行こう!こんな雨の中にずっといると
風邪引いちゃうよ。」
レン君に手を借りると立ち上がり、レン君の言う博士の所へ。
「ここだよ。」
着いたのは屋敷。レン君の言っている博士ってお金持ちなのかな?
”ギィ~・・・・・”
耳を塞ぎたくなるような音で、大きなトビラが開かれる。
「博士!は~か~せ~」
「こっちだレン~!」
「あ、あの。ここが博士の家?」
「うん。ここは屋敷だからいくつか使ってない部屋があるけどね。」
「そうなんだ・・・・。」
あまりにも大きいせいか
私の動きがぎくしゃくしていた。そんなをレン君は手を繋いで部屋を
案内してくれる。辺りは暗いだけで、何も見えなかった。
雨が降っているからかな?
「着いたよ。」
木製のドアを開けると、メガネをかけた白衣の男性がギターを
弾いていた。
「博士~!」
「お、おかえりレン!新曲出来たぞ?」
「お!ありがとう博士♪」
「ん?見かけない子だね。」
「あ、紹介するよ。この人は初音ミクさん。僕と
同じボーカロイドだよ。」
「ボーカロイド!?」
「さっきミクさん、主人の家から家出したんだって。
でも契約があって自由になれてないんだよね。」
「契約?あぁ、市販に用ボーカロイドの契約かぁ。
ちょっと待ってて。初音さん。シリアルナンバーは?」
博士にシリアルナンバーを教えると、キーボードを打ち始める。
そして数秒後。
「よし!契約解除!これでもう切られても問題ないよ。」
「さすが博士!」
「シリアルナンバーがあればある程度の事は出来るからね。
契約が解除され、私は自由になった。でも私、市販で購入された
ボーカロイドだったんだ・・・・。
「あ、レン。この曲の発生練習をしておいてくれないか?
彼女とちょっと話をしたい事mあるし。」
「あ、うん。分かった。」
レン君は部屋を出て行くと博士と私だけになる。
「まぁ初音さん。そこに座って。」
近くにあるパイプ椅子に座り、辺りはよく分からない機材と音楽系の
道具が置いてあった。
「さっそくだけど、初音さん。君は本当にボーカロイドなのかい?」
「え?」
この人は急に何を言い出すのだろう。私はボーカロイドの他でもない。
「あまりにも人間の感情と言葉を話すからボーカロイドとは
思えなくてね。」
「気付いたら何故か感情を覚えてたんです。」
「そうか・・・・。」
博士はPCの近くにあるコーヒーを手に取り、飲み干す。
「ふぅ、それにしても科学の力は不思議だよ。市販のボーカロイドは
普通いじったりしてもうまく話せたり出来ないのに。」
「あの・・・・。レン君は市販のボーカロイドじゃないんですか?」
「違うよ。レンは・・・・。」
「元々彼は人間で、わけあってボーカロイドになったんだ。」
「へ・・・・?」
コメント0
関連動画0
ご意見・ご感想