『THE END 乙』
風の音が鳴り止んで
不気味な足音に気が付いた
月明かり映し出された影
靴のかかと気にする風に目をやると
身長7フィートガッチリ目
ロン毛のヘラクレスが僕の背後に迫っていた
一体何のようなんだ?
一目惚れでもしたのかい?
前から目をつけられていたのかな?
そんなことはこの期に及んでどうでも良い
この先は街灯の無い竹林の小路だ
顔見知りしか住んではいない
朽ち果てかけたあばら家がある
ヤバイ ヤバすぎる!
引き返そうか?それは無理
微妙に速度をあげるんだ
気付かないフリが一番だ
アイツの靴音耳すますんだ
僕は何も知らない
僕は何も気付いてはいない
テッテケテー THE END 乙
風の勢いが更に増し
恐怖の足音が聞こえなくなった
僕の影に重なる巨大な影
ムンクの叫びの僕は振り返る
身長7フィートガッチリ目
ロン毛のヘラクレスが僕のズボンを引きちぎった
絶対これは夢だよ
うたかたの淡い夢だよ
気が付けば居酒屋のトイレ前
そんな訳が全くもってあるはず無いんだよ
この激痛はまごうことなき現実のもの
ヘラクレスが覆い被さり
口角から垂れる悪臭の唾液
クサイ! クサすぎる!
噛みつこうか?それは無理
微妙に速度が上がるんだ
気絶したフリが一番だ
硬くなったもう直ぐフィニッシュだ
僕は何も知らない
僕は何も犯されてはいない
テッテケテー THE END 乙
冷たい雨に起こされて
僕は満月を見上げていた
赤ずきんは狼に襲われたんだ
赤ずきんは赤ずきんちゃんだ
聞こえた気がする
遠くで木霊する満足げな遠吠えが
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