晴れた日の帰路 雲ひとつない
「でも午後から雨が降るんだって」
バスの停留所の屋根を見上げて
制服の袖をまくって笑った
外れそうな天気予報
どこか楽しそうなきみ
「もしも雨が降ったら
傘に入れてあげないから」
何処にでもあるような傘を自慢げに
でも僕は知っているんだ
もしも雨が降ったら
笑って傘を差してくれるんだろうなぁ
バス停の屋根 月日とともに
錆びて出来た穴から見た空
雲が出てきて 陽が陰るから
「早くバスが来ないかなぁ」なんて
ポケットに隠した
本音はさらにもっと奥へ
僕が黙っているから
「どうしたの?」って聞くんだ
きみにとっては取るに足らないような
日々の会話や笑顔が
僕にとっての光だ
空の色に捉われずに照らしている
予報通り 空が崩れて
バスが来るより先
雨が降って
「本当に雨が降ったね」
僕が濡れているから
きみは笑って傘を差してくれるんだ
普通の傘だからこそ
感じた気持ちは本当さ
雨が止まない世界を照らしている
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