充電完了、予備バッテリーOK、プログラムOK、メンテナンスOK、データを初期化中―――
初めて見た世界は真っ白の天井と様々な機器
「ん!!ちゃんと動いたわね!!よかったよかった☆」
視界の端に人間が映る
「大丈夫?なにか不具合はないかしら?」
「大丈夫…です」
「うん!会話も問題ないわね!あ、私はあなたの制作者じゃないのよ。ここの会社の亜種開発部で働いてるんだけどね、廃棄行きのゴミ部屋の隅にあなたがいたから修理したのよ♪」
「…はい、わかります」
「だから人格データとかメモリーとか私は何も知らないんだけど…どう?何か覚えてることはないかしら?」
「…いいえ」
「そう…。あなたのカラダは一部の電脳部と左目だけ未完成で放置されてたから、もしかして今初めて起動したのかもね?心配しなくても大丈夫よ、電脳部はちゃんと完成させたから☆ただ、左目がどーもうまくいかなくて…ごめんなさいね」
よくしゃべる人間だ。僕も聞きたいことがあったがすべて先に喋ってくれた。
左目に違和感があったのはそのせいか…
「起きても…いいですか?」
僕はベッドの上に寝かされていたらしい
「えぇ!大丈夫?起きれるかしら?」
僕が何事もなく体を起こしただけで人間はうれしそうな顔を見せた
「うん、動きにも問題ないわね!…そうだ、あなたの名前覚えてないかしら?」
「…製造番号AZ6」
「あらら…名前までは覚えてないかー…。私がつけてもいいかしら!?」
「どうぞ、お願いします」
「AZよねぇ…アジ、アズ、アゼ、アザ…あざわ…。鴉沢ラウくんなんてどうかしら?」
「はい、ありがとうございます」
アザワ…ラウ…僕の名前…。
人間と喋っているとき、あるのも気付かなかった部屋の扉から小さい少女が入ってきた
「おかーさん!!どこいってたの!!?」
「ナコ?ごめんごめん。ちょっと、ね。ラウくん、紹介するわ、私の作ったボーカロイド(子)の砂緒ナコちゃんよ♪同じボーカロイド同士仲良くしてあげて?」
「初めまして!砂緒ナコです!!わー!初めて会ったボーカロイド(僕と同じ)のヒトだー☆」
なぜだろう…キミの声を聞いたときボーカロイドには無い涙が流れたような気がしたんだ
「初めまして、鴉沢ラウです」
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