「ミルクパズル?」

「そうよ」

 そう言って緑色の髪をツインテールにしている女の子は黙々と白いピースを大きな板へと組み込んでいった。

 ミルクパズルとは名前のとおり、ピースが白いパズルである。ヒントとなるのは各ピースの形状のみ。いたってシンプルではあるが、それと同時に難易度も跳ね上がる、天才の遊びとも言われる。

 彼女はそれを黙々と遊んでいた。ピースをはめても板は白いままで、その面白さが解らない人間にとっては何が面白いのかはっきりと解らないのだろう。もしかしたら怪しがり、気味悪がるかもしれない。

「面白い?」

「そりゃあね。ミルクパズルは様々な脳を活性化させるし、超能力を使うには必須でしょう?」

「超能力……な」

 そう言って青い髪の少年は文庫本を読み始める。

 この世界では持つ者と持たない者がいる。

 超能力。

 誰が与えたかも知らない謎の力。

 カミサマが与えたのなら、それは持たない者にとってはカミサマの存在を疑うものである。

 カミサマは人々を平等にするというなら、なぜ超能力を“選ばれた”人間に与えるのか。

 それはもたない者共通の考えでもあり、それを読み解くことこそがこの世界の真理ともいう学者も居るほどだ。

「……で、カイト先輩なんでここにいるんです? もう仕事は終わったんじゃ」

「そうだけどね。ちょっと神威くんに用事があったもんでね。でも……神威くん忙しいみたいだね。もう五時回ったっぽいし」

「そうですね。あいつ忙しいっていうか何してるか解んないですけど」

「……それが、“一科”学年一位に対する言葉かな?」

「先輩こそ、“欠番”学年一位にはそぐわない発言だと思いますが?」

 少女の言葉に、少年は鼻で笑い、そして立ち上がった。

「確かに君の言うとおりだ。欠番が一科には逆らってはならない。それはこの学校の決まりですからね。一科生さん」

 そう言って、カイトは立ち去っていった。

 少女はそれを見て――呟いた。

「――やっぱ生徒会ってこんなもんなのかな」

 そして誰も触れていないドアが勝手に閉じた。





つづく。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

【オリジナル】初音さんの生徒会事情 1

オリジナルです。よろしくお願いします。

閲覧数:658

投稿日:2012/06/30 22:25:43

文字数:900文字

カテゴリ:小説

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  • 美亜 瑠璃

    美亜 瑠璃

    ご意見・ご感想

    こんにちはお久しぶりです、瑠璃の方です。

    ミルクパズル懐かしすぎる…!実際に見たことは無いんですけどね!(ヲイ

    カイト兄さんが微妙にイケメソな気がしてならないですw個人的にはヘタレ神威くん待機してます←

    一科とか何それぽえーみたいな感じなんですが、生徒会モノは大好きです…ので、次も楽しみにしています!

    駄文コメ失礼しました。

    2012/07/08 23:19:27

    • aurora

      aurora

      どもども、コメントありがとうございます。

      ミルクパズルはですね、僕も実際に見たことはないですw某フリーゲームで知りました。

      神威君はヘタレだけど頭良くて断りきれない性格でイケメンなのでいつも周りに女子が絶えないみたいな設定です(予定)

      一科とかそーいうのはのちのち明かされますので……楽しみにしていただければと思います。

      2012/07/08 23:49:02

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