森の奥へと いざなう風が
宵闇の片隅 そよいだ
可哀想だと 嘆いた声はただ
欲望に圧されながら 消えゆく
屋根の上の 白い猫に
別れを告げ 森を目指し歩いた
月が満ちて彷徨う 二人の影
「大丈夫だよ」 猫の足跡 辿る
夢のように容易く 抜け出せたなら
祈りは 散る
そして二人は 再び森の中
迷うことさえも出来ず 進んだ
甘い風に 誘い込まれ
天の子供 悪しき罠に捕まる
朝陽こぼれ引き裂く 二人の手を
こらえきれない 泣き声響く 側で
夢のような御馳走 盲目の手に
差し出した 骨
空に祈りを捧げながら泣いた
二人で旅立つほうが良かったねと
天罰は そっと 下った
鳥のようにとびだす 自由になる
飾りきれない 宝を持って 走る
渡り鳥の送り灯 森をぬければ
ほらそこに
日差し注ぐ野原の 二人の影
はしゃぎ疲れた 夕焼け空のような
夢のような日常 取り戻すため
喪った 人……
コメント0
関連動画0
ご意見・ご感想