それは灰色が青色を閉ざした日であった。

とある高校の演劇部では、学芸会で披露する劇の演目を決めかねていた。
演劇部の部長である桐生は、学芸会には学校の外からも偉い人がたくさん来るという噂を耳にする。そしてその噂を自身の彼女であるあいりに相談することにした。

だが、あいりはそんなことどうでもいいと言う。それどころか火蓋を切ったようにあいりの口からは、数々の愚痴が飛び出してくる。
その中でも「主役がいれば劇なんてどうとでもなる」「あんな人たちと一緒にやってたら、私まで下手に見られちゃう」という言葉には、さすがの桐生も怒りを抑えることはできなかった。
そこから二人の口論は喧嘩へと発展してしまう。終いには一方的に怒鳴りつけ、あいりは桐生を置いてどこかへ行ってしまった。

あいりは涙を堪えるのに必死であった。大きな樹を持つ公園のベンチに、座っていた。
遊び回る子供たちの元気な声も、やがて雨雲から逃げるように遠退いていった。静寂に包まれた公園にぽつんと残されたあいりは帰ろうと立ち上がる。はずだった。
あいりの意識はここにいるはずのない、何かに引っ張られた。あいりの意識、視線の先にあるのは、兎。真っ白な兎だった。
その兎の首には何かがかけられている。あいりはそれを取ってあげようと、兎を追いかけた。あいりが進むと兎も進む。それを幾度と繰り返す。

そしてあいりは、兎が樹の根元の穴に飛び込んで行くのを見た。驚きを隠せない。不安と好奇心が入り交ざる。とうとう好奇心の方が勝ち、あいりはついにその樹の根の穴を覗いてしまう。

アリス「うっ!? あ……何でー!?」

しかし、あいりはその穴へと突き落とされた。何かに。誰かに。
そして暗闇に呑まれ、あいりの身体は、意識は、深く深くと落ちていく。

ああ、アリス。ようこそアリス。早く、早く。早く、落ちて、堕ちておいで?

あいりの耳には、届かない。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

第一章/シナリオ

不思議の国に入る前、現実世界の話になります。

できればですが、『ああ、アリス~~~』のところは白兎役の方に読んでもらいたいです。
もちろんナレーション役の方でも大丈夫です。
雰囲気、状況などで選んでください。


修正してほしいこと、加えてほしいことなどあれば言ってください。
突拍子のないことであれば変えます。

誤字脱字ありましたら教えてください。
読みにくくて申し訳ないです。


このほかにも何かあれば、遠慮なくお願いします。

閲覧数:335

投稿日:2016/09/23 23:57:32

文字数:799文字

カテゴリ:小説

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  • りおねぇ(闘病中)

    りおねぇ(闘病中)

    ご意見・ご感想

    小説形式のボイスドラマを知らないので、
    このシナリオがいいのか悪いのか
    私は判断できません。
    DJ SYASHIさんがこれでOKというのであれば
    私はこのままで構いません。

    気になる点があるとすれば、
    ナレーションが多いボイスドラマは
    話の流れがナレ部分で断ち切れるため
    嫌われることが多いですね。
    あと、導入部が長過ぎるのも
    飽きられてしまうことが多いです。
    えっと、これは今まで制作してきた経験上
    感じた事なので、こういうこともありますよ~
    っていう感じで聞いてもらえたらいいです。

    2016/07/23 00:13:36

    • 綾呑

      綾呑

      ありがとうございます。

      不思議の国に入ってからはナレーションは一切なしですので断ち切られることはないと思います。
      頭に入れておきます。

      2016/07/23 10:23:43

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