昔話
これは孫と一緒に住むある認知症の老婆の話である。
いいかいサラよく聞くんだよ
昔私の父はこの街を整備する役目をお役所からもらったんだ。
そりゃあもう最初は
「街を今までにないくらい素晴らしくするんだ」
って意気込んでたよ。最初はね・・・
でも街を美しくするのには私たちが想像できない程にお金が必要だった。
だから、今では汚名高き免罪符というものを作りだしたんだ。
それからの彼は人が変ってしまった・・・
役人に毎日おべっか使ったり、暴飲暴食、女遊びと生活は荒んでいった。
毎晩のように母に暴力を振るったわ・・・
それから家族はバラバラになり、私は彼と二人この街に残った。
恨まれた私たちは、周りの住人達からも虐げられたわ。
そして彼の望む美しい街ができたころには彼は五回以上も入院した。
病名は当時子供だった私にはわからないけど、痛そうな顔を毎日見たわ・・・
そして彼は街の整備の役目を終えると同時に病気で息を引き取ったの・・・
でもね、サラ、彼を恨まないであげてね・・・
私とサラそしてこの街の住民が安心して暮らせるのは愚かな父のおかげなのよ。
サラはもう何十回聞かされたその話に飽き飽きしていた。
やがて、老婆は息を引き取った。この話を知る者はサラしかいないのだった。
コメント0
関連動画0
ご意見・ご感想