パラソル回る しとやかに
練り歩く女に男(ひと)は 目を据えながら
カナリア唄う 佇まい
芳しい夢に魅入らせる
哀れみの目をやり 私は花を撫で
黒いローゼの鍵はあざ笑う
金の鎖で繋いだパパとママ
愉悦の涙(しずく)はルビー
秋雨 咲く白百合
白露輝く花弁
パパよママよ ご覧なさい
うるわしの私
青ざめたその頬に
浮かぶ喜びの紅潮と
止まぬ咳と血の飛沫で告げる幸せ
なんと 嬉しい
茨が食い込む皮膚 深く
浅はかなるマゾヒズムを愚者(ひと)は崇める
仮初めのエクスタシー求めて
ドパミンに耽る男女(ひと)たち
哀れみの目をやり 私は猫を撫で
シャム猫は何気なくあくびする
うごめく蝿 横たわる父母
フロアは赤黒…
美とは なんぞと問われば
常に自身にありと言えよう
その重さにも耐え切れぬ
肉体(み)こそ哀れなれ
命の火が雨に 儚く弱まり消えた
ああ 我が姿を目にしたまま息を呑んだ彼ら
ああ 無情
美を楽しめずに目を瞑って先立つなど
それは 残念
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