ルル視点
突然、爆発が起こった。
「…っなんだっ!」
「…どうやら、始まっちゃったらしいね」
キリアの一言で僕は状況を理解したと同時に、疑問を抱えた。
何故、此処に悪UTAUが…?
「逃げるぞ」
「え?」
僕の言葉にキリアは意外そうに首を傾げる。
「…え?って、逃げないと僕らもやられる…キリアはその状態だとまともに動けないだろうけど…っ!」
「大丈夫?」
「…ちょっと、僕もまともに動けないっぽいね…」
少し肩が痛む…。
僕は無理してまでキリアを背負い、荷物をもって誰にも見つからないような場所へ逃げようとした…だけど。
「…」
UTAUの様な風貌をした少女が、僕達をみつめていた。
「…誰だ。お前」
「…立花、サリナ…」
サリナと名乗った少女は、キリアと僕を交互に見つめる。
「貴方達、亜種?」
サリナは僕達に尋ねる。亜種という事葉を知って居るのは、VOCALOID隊と悪UTAUのみ…後は島の人間だろうか?でも、此処は日本の首都の近くだ…。知って居る人間は居ない筈。だとすると、やはり彼女はUTAUだろうか?
亜種の可能性もあるが…。
「…僕は鈴音ルル。こっちは霊留キリア。お前こそ誰だ…?」
「私は立花サリナ。…一応、UTAU」
「なんだ、UTAUなのか…」
僕は、安心して彼女に近付いた。
「(ちょっと)」
「(何?)」
キリアに小声で話しかけられた僕は小声でキリアに反応した。
「(あんなUTAU…データには無かった。もしかしたら罠かもしれないよ。注意して)」
「(…注意してみる)」
僕は、キリアの言うとおり警戒をしつつ、サリナに近付いた。
「…どうしたの?」
「いや、なんでもない。君は、何で此処に?」
「……迷った」
「…迷った?」
「歩いてたら迷った」
彼女の言葉は、今のUTAUの状況にはありえない言葉だった。
やはり、キリアの言うとおり彼女はUTAUではない?いや、違う。彼女はUTAUだ。
じゃあ、操られているのか?いや、それも違う。そもそもデータにはないUTAUといっていた。
もしや、作られたUTAU…?
じゃあ、彼女は、悪UTAUかもしれない…。
「…UTAUが此処に居るわけないでしょう。大半のUTAUは操られているか、行方不明よ。確かに、此処に居る可能性もあつかもしれないけど、私は、貴方が何者か知って居るわ」
「?」
突然、ユアさんくらいの少女が話に割って入って来た。
「はじめましてこんにちは、ルル君。キリアちゃん。私は菜香。ルリカの友達よ。大丈夫、害は無いわ。さて、ここら辺に居たUTAUは、出来る限り捜索して、やっと1体見つけたくらいだけど、貴方をここら辺で見た事は無かったわ。私は貴重なここら辺でUTAUやVOCALOIDを知っている人間よ?」
菜香と名乗った少女は、サリナを見つめる。
「よく出来ているけど、私の目は誤魔化せないわ。ね、マコ」
「…はい」
何処からか、少女の声が聞こえてきた。
「…何処…」
サリナはあたりを見渡す。
「…此処です」
黒髪の和風な少女が出てきた。データで見た事がある。彼女はUTAUの和音マコ。
マコは、サリナをきっと見つめて、立っていました。
「貴方が、オリジナルUTAU」
「…悪UTAU…!返してください!ルナを、あの時までの可愛いルナを、返してくださいっ!あんなの、あのこのやる事じゃない!」
マコのサリナを見つめる目は、怒りへと変わっていました。
「……今、悪UTAUが来ている。もうお前らの艦は襲われている所」
「…襲われている?違うな。悪UTAUどもはエンジェルボイスターには触れられない。VOCALOID隊のほぼ総力を使えばな」
サリナの言葉を、僕は否定した。
「VOCALOID隊の総人数、何人だと思ってるんだ?それに、正規VOCALOIDは全員揃っている状態だ。お前らに負けるわけはないだろう?」
僕は続けた。悪UTAUの人数は確かにVOCALOIDを超える。だが、VOCALOID達の実力も確かな物だ。
「…任務失敗か。ならいい。なら、私も退散するとしよう」
そう言って、サリナは消えた。
「…うっ!」
「傷が痛むのですね?」
マコは、そっと僕の肩に触れた。
「…どうやら、折れてるようです。私達の家で保護した方が良いですね」
「貴方達が居るなら、ユアが探しに来ていると思うわ。私のところで預かっていれば、多分大丈夫よ」
「…有り難う」
僕とキリアは、此処を後にして、菜香とマコに連れられて菜香の家へと行った。
続く
歌姫戦士ボカロボット39話
マコちゃん登場!
次回予告
ユア「私達は、手がかりを探して歩き回っていました。休憩や情報収集の為に、私は菜香の家に行く事になりました。その時、戦場では…次回「機械の心」もうそろそろ、大変な事が起こりそうな予感がします。それを、防がないと…!」
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