赤ずきんはお婆さんに焼き立てのパンを持っていくことになりました。その日のパンには赤ずきんの大好物のイチゴのジャムが挟んでありました。パンは全部で三つあります。赤ずきんは辛抱ができなくなって、途中で三つのうちの一つを食べてしまいました。
そこへ猟師がやってきて「それはお婆さんに持っていくパンだね」と聞いてきました。
「そうだけど、今日はいつもより一つ少ないの」
赤ずきんはとっさに嘘をつきましたが、猟師は赤ずきんが盗み食いしているところをどこかで見ていたようです。
「黙っていてあげるから私にも一つくれないか」
猟師はそう言うと赤ずきんに向かってニヤリと笑いました。赤ずきんは仕方なくパンを一つ差し出しました。猟師はそれを食べ終わると「お婆さんの家まで一緒に行って、パンははじめから一つしかなかったとお婆さんに説明してあげるよ」と言いました。
そして二人でお婆さんの前に立ちました。猟師が話し出そうとして大きく息を吸い込んだそのときです。赤ずきんが一歩前に出て言いました。
「お婆さん、あのね、この猟師さんがパンを二つ食べちゃったの」
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