ミユウ視点
「成る程、そんな事があったんだね…」
ボクはとりあえずララ達に全てを話した。
「ああ、それで」
「俺等はリユウちゃんを助けに行く。だろ?」
ボイスがそう言ってきた。
「うん」
「でも…それで良いの?」
ララは、意外な一言を発した。
「ララ…」
「だって、リウウちゃんは、ミウウちゃんに迷惑かけない様にって、行っちゃったんでしょ?それで、ミウウちゃんが行っても、逆にリウウちゃんを傷つけることになっちゃうんじゃないの?」
ララはそう言った。
確かに、そうだった。肝心なリユウの気持ちを考えていなかった。
リユウはボクに迷惑をかけたくない、そんな気持ちで此処を出て行ってしまった。それでボクが来ると、余計にリユウを傷つけてしまう。
「なら…ボクはどうすれば…」
「俺が、行ってやる」
「ボイス!」
「だって、ミユウが行くと駄目なんだろう?なら、俺が行ってやる」
ボイスが…リユウを助けに…。
「やっぱり、ボクも行くよ」
「ミユウ、何言ってんだよ!お前が行けば、リユウちゃんを傷つけるだけだろう!」
「たとえ傷つけてしまっても!リユウが…リユウの身に何かあったら…心配なんだよ…」
「リユウ…」
「じゃあ、決まりだね。今回の事に、悪UTAUが関連している可能性もあるから」
「ララ?」
ララの一言にボクとボイスは意味が分からなかった。
「だから、リウウちゃんの置いてった手紙。あの手紙に『不思議な人』っていうのが居たの。それが、もしかしたら悪UTAUじゃないかって、話があるの」
悪UTAU…そうだとしたら、絶対に許せない。
「じゃあ、ユアさんに伝言を」
「何?ミウウちゃん」
「ボクが囮になるから、他の人は後で来て。ボクは、先に出撃する」
「ミユウ!」
ボイスの言葉にボクは笑顔を浮かべて。
「大丈夫」
と言った。

ボイス視点
ミユウの言葉が頭から離れない。
本当に、ミユウ一人で大丈夫なのか?俺がついて行かなくて良かったのか?
さっきからそんな言葉だけがぐるぐる回っている。
「今回の任務は、ミユウが囮になって、その間にリユウを探す。という事。何か質問があったら言って」
「はい」
手を挙げたのは…確か救音レインさんだ。
「ラルちゃん、まだ、悪UTAUとは分かってないのよね?それって、やぶからぼうじゃない?もしリユウちゃんが単独で行っていたなら、そんな大掛かりにしなくて良いのに」
「レインさん、それはララから聞いた話だと、ミユウの機体に付いてるリユウの機体を感知する装置が付いてるの。それでリユウの居場所が分かったんだけど…」
「其処に、悪UTAUの気配がしたの」
ララちゃんが言った。
「やっぱり、悪UTAUが関連しているのね」
レインさんは納得して言った。
「ユアさん…やっぱ、俺も囮になる」
「兄貴!」
「…ノイズ!」
ノイズがドアの所に居た。
「お前…まだよれよれなのに…」
「兄貴…ミユウさん…は…大…丈夫…兄貴…まで…囮に…なっちゃ…駄目なんだ…よ…」
ノイズは倒れそうになりながらも俺の近くへ来た。
「ノイズ…分かった。ユアさん、俺が先頭になって良いですか?」
俺はユアさんに言った。
「…そんな言葉を言う事、私はもうとっくに分かっていました。ボイス。貴方に先頭を任せます。ミユウも、リユウも、無事に連れて帰ってきて」
「…分かりました!」

リユウ視点
「来たよ…リユウに…力をくれるんでしょ?」
『うん、あげるよ。でも、その前に、決心は付いてるの?』
「何の…?」
『強大な力に耐える決心』
「そんなの…とっくに出来てるの…リユウは、もうお姉ちゃんの足を引っ張りたくないの!」
『君の決心。よ~く聴こえたよ。じゃあ、君に力を上げるよ』
これで…リユウはお姉ちゃんの役に立てるの。
リユウは、もうお姉ちゃんの足を引っ張らないの。
「うう!!!!」
その時、物凄い痛みがリユウを襲ったの。
「これ…なんで…」
『だから、強大な力っていったでしょう?ま、これで君は私の操り人形なんだけどね』
「嘘吐き…」
『ああ、嘘吐きだよ。だって、私は悪UTAUなんだから』

ミユウ視点
「ここら辺か…」
リユウ…。
【オネエチャン、タスケテ…】
「リユウ!?」
【リユウヲ、リユウヲトメテ!!】
その瞬間、ボクの機体目掛けて銃弾が降って来た。
「!!。何だ…あれは…」
【リユウハ、リユウガワルイコダカラ、ミンナニメイワクカケチャウ!!】
それは、リユウの機体だった。
「何で…リユウが…」
【オネエチャン、リユウヲコロシテ、ソシタラ、リユウハラクニナレルカラ…】
「殺せないよ!リユウはボクの大事な家族なんだから…。リユウは良い子だよ!悪い子なんかじゃない!」
【リユウハワルイコダモン!リユウガツヨクナリタイッテネガッタカラ、リユウガオネエチャンニメイワクカケテルカラ、バチガアッタタノ!!!】
「リユウ…」
ボクには、何も出来なかった…。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

歌姫戦士ボカロボット第23話

次回予告
ボイス「ミユウの助けを求める声が聴こえる。リユウちゃんの声も、一体何があったんだよ…。今、俺が助けに行ってやるから!次回「抜け落ちる心」全員…馬鹿なんだよ…」

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投稿日:2011/10/03 18:58:23

文字数:2,031文字

カテゴリ:小説

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