高倉友彰|33歳|フリーランスシステムエンジニア。 新卒で大手SIerに入社後、複数の開発プロジェクトに従事。 現在は独立し、スタートアップ企業を中心にWebシステム・バックエンド開発を支援中。 趣味は文字を書くことです。
プロフィールを見る投稿作品24作品
もっと見る-
部屋の片隅に置いてあった小瓶の砂が、ある午後ふと音を立て始めた。耳を近づけると、確かに微かな旋律が流れている。音量はさざ波以下なのに、なぜか心の奥だけを震わせてくるような響きだった。まるで砂が自分にしかわからない言葉で話しかけているようで、しばらく身動きが取れなかった。
音が強くも弱くもならない一定...【高倉友彰】砂が歌いだした午後の謎
-
街を歩いていると、ふとした瞬間に懐かしい香りが鼻をくすぐることがある。僕の場合、それは子供の頃に遊んだ町工場の鉄の匂いと、雨上がりのアスファルトの混ざった独特な匂いだった。都会の喧騒の中で、忘れ去られたような小道に迷い込むと、その香りは強く、鮮明に僕を過去へ引き戻す。
その路地は狭く、両側に古いレン...【高倉友彰】忘れられた路地の香り
-
夜の街を歩いていると、ふと路地の角に小さな影が揺れるのを見つけた。その影は人間の形をしているが、誰もいない。月明かりに照らされて、影だけがひっそりと踊っているのだ。最初は目の錯覚かと思ったが、足を止めてじっと見ていると、確かに独自の動きをしている。まるで夜の間だけ自立する影の世界が存在するかのようだ...
【高倉友彰】月明かりで踊る影の秘密
-
夜になると、街は静かに眠り、灯りだけが独特のリズムを刻み始める。ネオンの光はただ明るいだけではなく、歩道に映る人々の影をカラフルに変えていく。影はまるで自分だけのオーケストラの一員のようで、誰もが知らないうちに街全体で歌っているように見える。
先日、用事の帰りにふと立ち止まり、普段は意識しない通りの...【高倉友彰】夜のネオン街で歌う、影たちのシンフォニー
-
朝、玄関を出る前に郵便受けを開ける。冷たい鉄の感触の向こうに、小さな封筒が一つ入っていた。宛名の文字は少し滲んでいて、筆圧が不安定だった。誰からかも分からないけれど、その震えるような線を見て、なぜか心臓の奥が少しだけ跳ねた。
封を切る前に、私はしばらくその重さを感じていた。たった十数グラムの紙の中に...【高倉友彰】郵便受けの中で呼吸している言葉たち
-
ベランダに干したシャツが、風にあおられている。まるで空を飛びたがっているように揺れていた。なのに、ふと見たとき、その布がまるで「怒っている」ように見えた。風に遊ばれているのが、ちょっと気に入らないのかもしれない。そう考えたら、風ってずるい。何も持たずにどこへでも行けるくせに、触れたいものに触れて、去...
【高倉友彰】洗濯物が風に嫉妬していた日
-
目を閉じると、音は色や形になって私の前に広がる。街の喧騒、カフェのざわめき、遠くで鳴る電車の音まで、すべてが立体的に空間を満たしていく。私はそれをただ感じるのではなく、視覚化して自分だけの景色を作ることができる。最新の音楽可視化技術を使うと、単なる音波が光の線や粒となって踊り、リズムごとに色彩が変わ...
【高倉友彰】音が見える世界で、私は歌を描く
-
ある夜、窓の外で鳴る風鈴の音をふと思い立って録音してみた。特に理由はなかった。ただ、もう秋の気配が近づいていて、この音がもうすぐ聴けなくなるのがもったいない気がしたからだ。録音ボタンを押してイヤホンをつけると、普段はただの「チリンチリン」だった音が、まるで別の世界の合図のように聞こえてきた。
不思議...【高倉友彰】風鈴の音を録音してみたら、夏がまだ終わっていなかった
-
夜の川辺に立ち、波紋が広がる水面をぼんやり見つめていると、耳に届くのは水のせせらぎと遠くの街灯の微かなざわめきだけだ。この静けさの中で、ふと自分の中の音楽の世界が膨らんでいくのを感じた。普段は部屋にこもって作曲ソフトをいじっているだけの生活だが、自然のリズムに身を任せることで、頭の中の音符がまるで生...
【高倉友彰】夜の川辺で見つけた、音楽に宿る小さな宇宙
-
音楽を聴いた瞬間、なぜか昔の景色や感情が鮮やかに蘇ることはないだろうか。ピアプロで歌詞を書いたり曲を作ったりしている人なら、音や言葉が人の心にどれだけ深く届くかを日々実感しているはずだ。だが、科学的にはこの現象はまだ完全には解明されていない。音楽が脳の中でどのように情報と結びつき、感情や記憶を呼び覚...
【高倉友彰】 歌声は記憶を超える、知られざる脳の旅路
-
音楽を聴いていると、同じ曲でも日によって感じ方が違うことがあります。ある日は元気をもらい、別の日には切なさが胸に迫る。なぜ同じメロディなのに、心に響く感情が変わるのでしょうか。実はその秘密は、歌詞の解釈と聴く側の心の状態、そして音楽の構造に隠されています。
最近ではAIを使った音楽制作が注目されてい...【高倉友彰】歌詞の魔法?AIが教える「聴くたびに意味が変わる音楽」の作り方
-
朝の光がカーテンの隙間から差し込み、目を覚ますと同時にイヤホンを耳に装着する。スマートフォンから流れる音楽が、まだ眠る頭の中をゆっくりと覚醒させる。私は最近、この「音の海」に身を委ねる時間が何よりも大切だと感じている。日々膨大な情報にさらされ、文字や画像に追われる生活の中で、音楽だけに集中する時間は...
【高倉友彰】 音の海で泳ぐ時間
-
夜の街を歩くと、昼間には気づかない小さな世界が顔を出します。街灯の光に浮かぶ影、遠くで聞こえる自動販売機の音、雨上がりのアスファルトに反射するネオンの色。普段は通り過ぎてしまう細部が、夜になると鮮やかに浮かび上がり、まるで街自体が語りかけてくるような感覚に陥ります。僕はそんな夜の散歩が好きで、目的も...
【高倉友彰】夜風と路地裏のひそひそ話
-
プログラムを書くとき、僕はよく音楽を思い出します。コードの一行一行が音符のようで、組み合わせ方次第で調和したメロディになる。システムのバグを修正するときの手探りは、初めての楽器を触ったときの手の感覚と似ていて、どちらも失敗を恐れずに試すことで次のフレーズが生まれます。
SIer時代は、作るものの堅牢...【高倉友彰】デジタルと音楽の交差点
-
突然ですが、皆さんは音楽を作ったことはありますか?メロディを考え、コードをつけ、楽器を重ねていく。一つひとつの音符が組み合わさって、一つの曲が生まれます。
私はエンジニアとして、日々コードを書いています。その作業は、まるで音楽を作る行為に似ているな、と最近よく思うんです。
音楽には「音符」があります...【高倉友彰】音符とコードは似ている
-
突然ですが、皆さんには、自分の「創作の原点」ってありますか?僕にとってのそれは、学生時代に初めて触れた「ボーカロイド」、特に初音ミクでした。
パソコン一台あれば、誰でも歌声を作り出し、一つの音楽作品を生み出せる。この体験は、僕の中に「創造の喜び」という、エンジニアとしての原点を作ってくれたように思い...【高倉友彰】初音ミクと僕の仕事