ゆっくりと時計の針が回る
君の入れたコーヒーを飲もう
古ぼけた本の匂いが
僕をどこかへ連れていこうとする

生まれることが生きる意味だと
シニカルなジョークはつまらない
道化でも楽しいというのなら
その生き方を止めはしない

愛されることが生きる意味だろと
つけられる評価に怯むのか
欠けている気持ちがあるとしても
補うことは考えてはない

ああ
僕らは違う表情（かお）で
一緒に笑えるから平気なんだろう

還りつくことを望みながら
未練をそこらに振り落としてる
遺されることが生きる意味ならば
次の生命を誰に託す？

苦しいと嘆く人の顔が
なんだかとても誇らしそうで
身に余るような大きさの
掌をじっと眺めている

ゆっくりと時計の針が回る
君の入れたコーヒーが冷まる
ゆっくりと顔をあげてみると
そこには君が笑っている