この町をはなれ
しんしんと降る雪を見たときに
とても驚いたの

雪は吹くものだと思ってた
風は止まないと思ってた
ああ、三重は風の国なのだと
初めて気がついた

B
底冷えなんて知らない
隣のおばさんの苺
お礼に持ってくの小女子

伊勢神宮の高い杉の背
朝早く並んだ朔日餅
思い出し指あたたまる

サビ
そんなものが
懐かしくてたまらなくなる
あの空が
懐かしくてたまらなくなる
さえぎられることのない
空と山
沸き立つ雲と強い風
懐かしくてたまらなくなる
ここには台風なんて来ないの

B
積雪さえも稀なの
数センチの雪と歓声
ワンワン耳打つ蝉の声

赤目の滝に落ちる花びら 
家の傍瞬く海の色が
目に浮かび胸締め付ける

サビ
そんなものが
懐かしくてたまらなくなる
あの声が
懐かしくてたまらなくなる
学校の裏広がった
田圃道と
延々響くカエル歌
懐かしくてたまらなくなる
ここでは虫の音さえも遠いの

A
あの町をはなれ
ごうごうと唸る地下鉄を待つ
白い蛍光灯

町は変わらないと思ってた
家はそのままと思ってた
ああ、いまは遠い国なのだと
途端に泣けてきた

C
週末、帰ろう
近鉄乗って
あの緑溢れる沿道眺め
週末帰ろう
お土産持って
誰がいなくてもいい、私のまちへ









小女子:こうなご
関西では春の風物詩となっているイカナゴの稚魚のことです。
我が家でも毎年、海際のお知り合いの御宅から分けていただきます。
さっとゆでて酢醤油などで頂いたり、すりつぶして魚肉ハンバーグなどにして頂くのですが、もっと美味しい食べ方をご存知の方は是非教えてください(笑)

朔日餅:ついたちもち
伊勢の赤福本店で、毎月一日にのみ発売される月変わりの和菓子です。季節によってものが違い、包装紙や箱なども専用の物が用いられる凝った
ものです。三重ではちょっとした県民イベントと化していて、毎月朔日には朝の5時からの開店にあわせ、長い列が出来ます。前日から列の席とりがされるのも恒例なのですが、かといって人が並んでいるわけではなく、「佐藤」「前田」と人が一人立てるくらいのサイズのダンボールに名前を書いて、それを本店に向かう道路伝いに「道路に」ガムテープで貼ってあるというのどかさです。予約も出来るので、企業などが大量に購入し、顧客に配って歩いたりもします。
朔日餅だけでなく、この伊勢のおかげ横丁界隈では朔日粥などを出している店もあり、毎月一日の早朝は、夜明け前から賑わっています。
余談ですが、伊勢のこの通りに売られている、伊勢神宮指定お神酒である「白鷹」は大変美味な辛口日本酒です。灘の名酒でもあります。お酒好きの人は皆大変喜びますので、お勧めです。(豚捨のコロッケもオススメですけどね!)

伊勢神宮:いせじんぐう
天照大神を祭る言わずと知れた神社です。あとから歌詞を「伊勢神宮の高い杉の背」ではなく「お伊勢さんの高い杉の背」にすればよかったと、悔しくなったのはヒミツです。
伊勢神宮は公式にはまだ、そのご神体がなんであるか、公表されていません。鏡、玉、剣のいずれであるかは確かなのですが、門外不出の秘密とされています。一般には鏡が有力説のようです。
実は広大な土地を持つ神社で、一般に公開されているのはほんのごく一部。背後の山一個、全部伊勢神宮だったりします。伊勢神宮の森は立ち入り禁止とされており、撮影も禁じられています。その山中で、本殿の中心にすえられる天の御柱(あまのみはしら)となる杉の木も育てられていますが、次代の天の御柱と定められた杉は、数十年にわたって周囲の杉を切り倒し、たっぷりと日光を浴びて育てられます。
20年ごとの遷宮のたびに、前代の天の御柱は、宇治大橋の大鳥居に作り変えられます。
本殿は三重の瑞垣(みがき)と呼ばれる塀に囲まれており、本殿自体に入ることができるのは天皇のみ、1重の瑞垣まで入れるのは親王まで、2重の瑞垣まで入れるのが総理大臣などの大臣クラス、そして、一般には三重の瑞垣よりお参りをしています。
この三重の瑞垣が、三重県の名前のもととなったのだと言われています。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

雲いずるまち

ご当地ソング応募曲です。
http://piapro.jp/content/ovgapza90ehl3inp
におPさまが素晴らしい楽曲に仕上げてくださいました。

とても楽しく企画に参加させていただきました。

最初は一杯特産物や土地名を並べた歌でした。
それを書き換え、詞として汎用性のある内容に変えていったため、色んな地区のことを書けなかったことが心残りです。

三重を離れたときに、懐かしくてたまらなくて本当に恋しかったのが、一面の空と、強い風と、台風と、蛙の声でした。
子供の頃、炎天下を自転車でひたすら走っていた広い広い田んぼとその畦道も、今では開発されて住宅街になりました。
実家も改装されて、いつも寝転んでいた縁側もなくなりました。
子供の頃、庭にまで飛んできていた蛍も、今では見られません。
すこしづつ、すこしづつ、離れている間に、景色は変わるのですね。
そんな記憶の中にしかなくなってしまった風景を、いまは懐かしく思い出します。

そういえば友達に言われました。
世界で一番「懐かしい」と口にするのは、日本の都会に住む人なのだそうです。
一度も田舎で暮らしたことのない人も、夏祭りや山里を「懐かしい」と感じ、それを恋う。
その日本人独特の「懐かしい」という感情を、どうぞ否定せず思い起こしながら、この歌を聴いていただければ幸いです。

ほか効果音:
ICレコーダーで録ってきました。梅雨明けで、蛙が減ってしまい、蛙の声を録るのが大変でした!蚊と闘ったよ!
雀の声や風鈴の音は、蝉がまだ起き出さない早朝に録りました。におPがセンスよく組み合わせて、歌に入れてくださりとても感激しています。



鈴鹿山脈のことや、熊野古道のこと、伊勢湾、伊賀上野、風力発電に鈴鹿サーキットなど、もっとあちこちのことを盛り込みたかったです。
(最初は歌詞に入れていたんですけどね!)伊勢海老や松阪牛も松尾芭蕉も江戸川乱歩も!…くう。

本当にごく一部のことしか書けなかったのが残念ですが、三重に足を運んだことのあるひと、三重に住んだことのあるひと、お知り合いが三重にゆかりのあるひと、今も三重に住んでいるひと、みんなにとって、ちょっぴりご贔屓をいただける歌になれれば、これほど嬉しいことはありません。

閲覧数:1,065

投稿日:2008/07/22 15:46:24

文字数:1,708文字

カテゴリ:歌詞

  • コメント1

  • 関連動画0

  • カラコロ

    カラコロ

    ご意見・ご感想

    私の知らなかった三重にも触れられた気がします。
    素敵なところ、再確認出来ました。GJです!

    2008/11/22 19:13:19

オススメ作品

クリップボードにコピーしました