氷雨=*Fortuna†の投稿作品一覧
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アイ・ストーリー
第四話「新しい仲間」 其の四
……えぇい、ここでもやもやしても仕方がない。
今は紅葉ちゃんにVOCALOIDマスターの先輩として
何か力になってあげないと……!
「…美冬ちゃん。何か思いついた?」
「うーん…全然…。紅葉ちゃんは?」
「同じく…。」
『はぁ』とお互いにため息をつ...アイ・ストーリー 第四話 其の四
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TAITO~ONLY YOU……~ 15
「罪悪」
……KAITOの事を考えるのはやめよう。
気になる所はあるが、きっともう会わないだろうし。
というか、あいつの事を考える時間自体が『無駄』だった。
……俺には幸音が……幸音だけがいれば……それで……。
……幸音は……俺だけの……。
ちょうどその時だ...TAITO~ONLY YOU……~ 15
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TAITO~ONLY YOU……~ 14
「衝動」
『じゃあ、帯人。いってきます!』
『あぁ……。』
いつものようにアルバイトに行く幸音を
俺は玄関まで見送る。
扉が閉まると同時に孤独感が俺を襲う。
『幸音』の『姿』が『見えない』。
『幸音』の『声』が『聞こえない』。
それは俺にとって堪え難い『苦痛...TAITO~ONLY YOU……~ 14
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アイ・ストーリー
第四話「新しい仲間」 其の三
「……ねぇ、紅葉ちゃんはどんなVOCALOIDがいいの?」
「え?う~ん……うちにはミクがいるし……。
出来れば男声VOCALOIDがいいかなぁ~……。」
「じゃあ……男声の派生VOCALOIDの誰かって事になるよね。
この研究所の男声の既存VOCAL...アイ・ストーリー 第四話 其の三
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「Argento」
深い 深い 暗闇(やみ)の底
『彼』は 独り 『歌』を口遊む
白銀(しろ)の髪に 深紅(あか)の瞳の 『彼』
無数に 零れ落ちてくる 白銀(しろ)の欠片(かけら)
気紛れに 『歌』を 口遊みながら
その欠片(かけら)を 繋ぎ合わせる 遊戯(あそび)
白銀(しろ)の欠片(かけら)は...Argento
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アイ・ストーリー
第四話「新しい仲間」 其の二
研究所に到着すると、すぐに奏兄さんの姿を見つけた。
でも今日はいつもと少し違っていた。
「……ん?みんな、どうした?」
「奏兄さん……彼女は、いったい……。」
奏兄さんの隣には見知らぬ女の子がいた。
年は私達と同じぐらいで、黄緑色の髪の女の子。
...アイ・ストーリー 第四話 其の二
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「堕ち続ける兄弟(ふたご)」
『母』は言った
『口惜しい』
自らの不条理な世間(じんせい)を 怨みながら
『母』は逝った
『父』は『公爵』 『母』は『使用人』(しょみん)
弄ばれた末に 新しい『命』を宿したというだけで
切り捨てられた 『破局』(けつまつ)
そんな中 産み落とされた 『兄弟』(ふたご...堕ち続ける兄弟
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「罪過(つみ)という名の十字架」
あの時の『妹』の表情(かお)が 忘れられない
遠い異国の戦場へ旅立つ 『兄』
『行かないで』
『妹』は その言葉を口にはしなかった
寂しさを隠して 唯 微笑むだけ
『妹』は『兄』に十字架を渡した
『兄』の無事を祈って
『兄』は『妹』に手紙を送った
『妹』に無事を伝え...罪過という名の十字架
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「最期の幸福(しあわせ)」
あの日 『彼』の腕の中で消えてしまった 『命の灯』
心から守りたいと思っていた 『大切なもの』
現実に疲れ果て 手放してしまった 『大切なもの』
いくら涙を流しても 『彼女』はもう二度と 戻らない
眠れぬ日々を過ごしては 度々『死』の衝動が 『彼』を襲う
それでも 『彼』...最期の幸福
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【Sacrificio ~双子の章~】
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僕達は 何処かで産まれて 捨てられた子供だった
優しい養父(ちち)と養母(はは)に拾われて
安楽(やすらぎ)に満ちた日々……
……幸福(しあわせ)……だった……
この安楽(やすらぎ)は
この幸福(しあわせ)は
永遠(とわ)に続くと信じていた
……そ...Sacrificio ~双子の章~
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TAITO~ONLY YOU……~ 13
「同一」
青い髪
青い瞳
俺のかつての『姿』。
そして俺が『出来損ない』だと嫌でも自覚させられる『存在』。
『大丈夫?立てる?』
青い髪と瞳の男は俺に手を差し伸べる。
俺はその手を取らずに立ち上がる。
『……どうして、俺なんかに声をかけるんだ。』...TAITO~ONLY YOU……~ 13
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アイ・ストーリー
第四話「新しい仲間」 其の一
「……マスター!早く早く!
早くしないと、アイスの特売が終わっちゃいますよ!」
「KAITO……。そんなにあわてなくても、スーパーは逃げないって。」
この日、私とKAITOは再びスーパーで行われている
季節はずれのアイスの特売に向かっていた。
朝から...アイ・ストーリー 第四話 其の一
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【Sacrificio 12枚目の紙片】
無数の人影(かげ)と瞳(め)
僕達に 手を差し出す隻影(かげ)
表情(かお)は 見えないけど
笑っているような 泣いているような
僕達と とてもよく似た隻影(かげ)
その手を 取った瞬間から
私
…… は ……
...Sacrificio 12枚目の紙片
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【Sacrificio 11枚目の紙片】
『苦しい』
これが 『終焉』(し)
隣にいる 『君』と 瞳(め)が合った
『大丈夫……ずっと傍にいるから』
そんな『声』が 聞こえた気がした……...Sacrificio 11枚目の紙片
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【Sacrificio 10枚目の紙片】
この時の僕達は 『預言者』(かれ)の言葉の意味が 分からなかった
生き続ける?
もう『終焉』(し)は目の前に在るのに?
……それに……『永遠に』って……
……分からない……分からないけど……
仄暗い水底(みなそこ)に沈んでゆく 僕達の 瞳に 映った
青い瞳の...Sacrificio 10枚目の紙片
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【Sacrificio 9枚目の紙片】
青い瞳の『預言者』(かれ)に連れられ
深い霧と森の先に待つのは 神の聖域
『死』という名の『恐怖』
『逃亡』という名の『衝動』
『愛』という名の『想起』
そんな僕達の 思考を読み取ったかのように
青い瞳の『預言者』(かれ)は静かに語り出す
『……君達は 死ぬの...Sacrificio 9枚目の紙片
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【Sacrificio 8枚目の紙片】
ついに 神の許へ 旅立つ時
父と母は 僕達を抱き締める
『愛している』
『ごめんね』
偽りの 言葉は 要らない
偽りの 涙も 要らない
僕達の 凍てついた傷心(こころ)には
もう 何も 響かないのだから...Sacrificio 8枚目の紙片
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【Sacrificio 7枚目の紙片】
僕達は 初めて知った 『眠れぬ夜』を
無垢(しろ)の『心』に 広がる 憎悪(くろ)の『染み』
売られた(すてられた)
裏切られた(すてられた)
愛していたのに(ゆるさない)...Sacrificio 7枚目の紙片
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【Sacrificio 6枚目の紙片】
我が家で 眠る 最後の夜
もう一度だけ 父と母の愛情(あい)を求めて
僕達は 扉に手を掛ける
『最初は 子供が欲しくてあの子達を拾ったけど
いざ育ててみると 大変だし 邪魔でしかなかったわ』
『でも もうそんな日々を送らなくていい
あの子達の代わりに 富が...Sacrificio 6枚目の紙片
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【Sacrificio 5枚目の紙片】
村の大人達が 僕達に送るのは 感謝と別れの言葉
僕達は 唯 寂しげに微笑むだけ
『怖くない』と言ったら 嘘になるけど
村の為 父の為 母の為 皆の為
捨てられ 死に逝くはずだった 存在(ぼくたち)に
幸福(しあわせ)をくれた人達を 守れるなら
……僕達は 喜ん...Sacrificio 5枚目の紙片
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【Sacrificio 4枚目の紙片】
それから間もなくの事だった
『……すまない……
村の為に 人身御供(ぎせい)になってくれ……』
突然 父が僕達に向けた言葉
『ごめんね……ごめんねっ……!!』
咽び泣きながら 僕達を抱き締める母
突きつけられた現実 廻る思考の果てに 僕達は……...Sacrificio 4枚目の紙片
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【Sacrificio 3枚目の紙片】
大人達の表情が凍りつく
幼い子供達は不思議そうに自分の両親(おや)を見つめる
まだ 分からないから
『神に捧げられる』という事は
……人身御供(死)を意味すると……
だけど 僕達には『関係ない』と思っていた
僕達が人身御供(いけにえ)に選ばれる訳がない
だって...Sacrificio 3枚目の紙片
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【Sacrificio 2枚目の紙片】
あれは 僕達が14歳になったばかりの時だった
僕達の村は大規模な飢饉に襲われた
僕達の村は『神様』に護られていると信じられていた
大人達は村で唯一人の『預言者』である『彼』に縋る
青い瞳の『預言者』(かれ)は静かに語り出す
『村の子供を神に捧げ 祈るしか 他に...Sacrificio 2枚目の紙片
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【Sacrificio 1枚目の紙片】
僕達は 何処かで産まれて 捨てられた子供だった
優しい養父(ちち)と養母(はは)に拾われて
安楽(やすらぎ)に満ちた日々……
……幸福(しあわせ)……だった……
この安楽(やすらぎ)は
この幸福(しあわせ)は
永遠(とわ)に続くと信じていた
……それなのに……...Sacrificio 1枚目の紙片
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TAITO~ONLY YOU……~ 12
「容貌」
俺と幸音は繁華街に着いた。
やはり人通りが激しい。
幸音と一緒でなければ絶対にこんな所には来たくないと
改めて俺は思った。
『帯人……人がいっぱいだけど、大丈夫?
別の場所にする?』
幸音は俺のそんな考えを読み取ったかのように聞いてきた。
『……...TAITO~ONLY YOU……~ 12
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……ねぇ、もしも……もしも生まれ変われるならば
その時はまた……『君』と……。
国中に響き渡る教会の鐘の音。
期待の中生まれたのは、双子の王女と王子。
昔から王家に双子が生まれる事は不吉な前兆と伝えられていた。
大人たちは悩んだ末に、一つの結論を出した。
……祝福されたのは……『僕』だけだった。
『...悪ノ召使を個人的に解釈してみた。
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TAITO~ONLY YOU……~ 11
「兆候」
あの日から、俺と幸音はまた元の生活に戻った。
でも、前とは少しだけ……違う。
こんな晴れやかな気持ちは、初めてだ。
幸音が……俺の全てを受け入れてくれた事が嬉しかったから。
『幸音……今日は、外に出ないのか?』
『あら、どうしたの?帯人……。
最...TAITO~ONLY YOU……~ 11
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マスター、僕はアナタが好きでした。
僕は誰かを愛する苦しみと楽しみを知りました。
アナタはもう、僕の傍には居ないけど
アナタに出逢えて、僕は幸せでした。
アナタと過ごした日々を糧に
僕はアナタの為に歌い続けます。
今も胸は痛むけど
涙は止まらないけど
最期のアナタは、笑っていたから……。...ありがとう
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TAITO~ONLY YOU……~ 10
「氷解」
俺は幸音に全てを打ち明けた。
自分が起動してすぐエラーが発見された事
それで処分されるのが怖くて研究所を逃げ出した事
外に出たくなかったのは連れ戻されるのが嫌だった事
公園で幸音と研究員の会話を盗み聞きしてしまった事
………………
所...TAITO~ONLY YOU……~ 10
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この先【流血&グロ注意】です。
そういうのがNGな方は見ない方がいいです。
TAITO~ONLY YOU……~ 9
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TAITO~ONLY YOU……~ 8
「不信」
あれから、三日が経った。
幸音は……いつもと変わらない態度で俺に話しかける。
いつものように、歌の練習をして……
いつものように、二人で一緒の時間を過ごす……。
それが……今の俺には……『苦痛』だった……。
『幸せ』だったはずなのに、何故...TAITO~ONLY YOU……~ 8
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TAITO~ONLY YOU……~ 7
「疑念」
俺と幸音は近くの大きな公園へ到着した。
俺は最初に幸音と出逢った公園との違いに驚いて
一瞬、身体が固まってしまった。
『広いでしょー?この公園って、休日は賑わうけど
さすがに平日は人が少なくて……ゆっくり散歩するのに
ちょうど良い場所...TAITO~ONLY YOU……~ 7
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TAITO~ONLY YOU……~ 6
「外出」
俺が幸音の家に暮らし始めてから、一週間が経った。
幸音と過ごす日々は……とても楽しかった。
幸音の傍で、幸音の作った歌を練習して……
幸音は俺にいつも笑顔を向けてくれる。
幸音の為に歌っている間は、自分が出来損ないという事を
……少しだけ...TAITO~ONLY YOU……~ 6
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TAITO~ONLY YOU……~ 5
「夢想」
『…………寒っ……。』
俺は肌寒さから目が覚めた。
いつのまにか、また眠っていたらしい。
開けっ放しの窓の外には、綺麗な夕焼け空が広がっていた。
幸音も……この空を見ているだろうか。
俺はぼんやりとそんな事を考えていた。
『……幸音……...TAITO~ONLY YOU……~ 5
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TAITO~ONLY YOU……~ 4
「記憶」
朝食を終えて、幸音は簡単な身支度をしていた。
『……じゃあ、私はアルバイトに行って来るから
留守番、お願いね。』
『……アルバイト?』
一瞬、幸音の外出先に違和感を覚えた。
『……学校には、行かないのか?』
『えっ?』
『最初、幸音...TAITO~ONLY YOU……~ 4
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