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「星って綺麗だよね。私に、いつでも夢を見させてくれるんだ」

ストーリーを考えるのが好きです。いつかその話で、誰かの心を動かせたのなら。俺はもう幸せだ。


とある凡人の独白場(ツイッター) http://twitter.com/votoru

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    ラストバレット。3-6

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    「はぁっ……はぁ……」

    息も絶え絶えに、私は街の中を走り抜ける。夜なのに、気温が高い。
    日中にたまった太陽の熱が逃げきれず、町の中を覆っているからだ。
    おかげで街中はひどい熱帯夜と化し、その熱で私の体はすぐに汗で湿っていく。
    おまけに喉も渇く、息も切れる。だがそれでも足は止まらない。止められない。
    ホントならタクシーを使いたかった。あいつの言ったことなんて律儀に守るつもりもないけれど、人質がいる以上、破れば何があるかわからない。

    それに私の周りには見張り役が常についているのだ。もとより不穏な動きなんてできない。
    私は見張られながら生きている。多分私と彼が一緒にいるときも、見張られていたのだろう。
    でもあの時はまだよかった。距離を縮めるためという名目があったから、そばにいられた。
    しかしいざ殺すとなったとき、私はそれができなかった。チャンスはたっぷりあったのに。
    彼に抱きしめられるまま、何もできなかった。
    それで不審に思った見張り役が、彼女に情報提供してしまったのだろう。
    だからきっと海人は……。

    「はぁっ……!」

    大地を強く踏みしめるたびに、嫌な予感は増していく。

    『お前にいいこと教えてやるよ、いいこと』

    あの時の声が聞こえる。鮮明なほどにくっきりと。
    数年たっても、記憶は劣化されずに残っている証拠だ。

    「いやっ!」

    思わず頭を振り払ってその声を否定する。
    じゃないと、耳について離れない気がしたから。
    だが。

    『撃ってみろよ……さぁ撃ってみろっ!!』

    声はしぶとくこびりついて、離れない。
    耳を刺すように、その声が叫ぶ。

    「いやぁぁぁっ!!!」

    その声に対抗するように、今度は思い切り叫んだ。
    人の目なんて気にしてられなかった。気にする余裕なんてなかった。
    そのことにばかり気がいっていて、足元を見る余裕もなかった。
    何かにつまずいたのか、私は不意に前のめりに倒れる。

    「つっ……」

    膝から、じわりと血がにじんでくる。思い切り倒れてしまったからだろう。
    受け身も何もとれず、その体は地面の衝撃をもろに受けていた。
    立ち上がろうとすると、一瞬足がふらつく。幸い、骨は折れていないようだった。
    まだなんとか、走れる。
    痛む体に鞭を撃つように、再び私は走り出した。

    目的の場所まではもう少し。全力で走ってあと四分か五分。
    途中止まってしまったり休憩してしまえば、それ以上の時間がかかってしまう。
    一秒でも早く、たどり着かなくてはいけない。
    海人の顔が浮かんでは消え、浮かんでは消えていく。
    今まで過ごしてきた海人。最初は確かに、ターゲットとして狙っていたはずだった。確かに殺すつもりだった。

    だけど今はもう、殺したいなんて思ってない。むしろ逆だ。彼には生きていてほしい。
    あわよくば……そんな彼と一緒に私も生きていたい。
    あの夏祭りの日、彼は確かに私を認めるっていってくれた。他の誰が認めなくても、彼だけは認めてくれるって。
    私の人生なんて生まれた時から詰んでいるけれど……もっと、もっと早くに海人と出会えていたのなら、こんな運命も少しは変わっていたのかな。今よりも、少しは幸せに生きられたのかな。
    そう思うと、また涙が出そうになる。
    でも、今はそんなこともできなかった。私はひたすら、走り続ける。
    海人たちがいるその場所まで、あともう少しだった。


    ――。


    「あれまぁ、これもう刺すとこねえですぜ」

    悪趣味な笑いを含みながら、レンは言った。目の前には、縛り付けられた海人の姿。
    そして彼につけられた、無数の刺し傷。そこからすべて、大量の血が流れ出ていた。

    「おいおい、加減しろっていったろ」
    「大丈夫ですよ。傷は浅いんで」
    「浅いのか、これが」

    血はなおも止まる気配がなく、海人はそのまま失血して死んでしまいそうだった。
    腕に、足に、腹に、手。そのすべてから鮮血がどくどくと流れ出る。
    普通に考えれば気を失ってしまいそうなほどのレベルだが、どうにか海人はまだ耐えているようだ。

    「俺のナイフさばきには狂いがありやせんから、へへ。気絶するほど深くもなく、出血が止まるほど浅くももありゃーせん。ミリ単位で調節してんすよ、俺は」
    「さすが」
    「へへ、それほどでもねぇです」

    ちなみに部屋はすでに彼の返り血で偉いことになっている。切り付けたレン自身も、もう筆舌しがたいくらいにひどい様になっていた。
    そんな中で普通に二人とも会話するものだから、逆にこっちがおかしいんじゃないかと思ってしまうほどだった。

    「ところで、8番目はまだですかい」
    「もうそろそろつくんじゃね?まーさすがに十分じゃあ無理だったかもなぁ――――っと?」

    嘲笑するように女が笑いかけた、その時。
    バァン、と部屋の扉が開かれた。あまりに大きな音だったので、女もおもわずひるんでしまう。
    扉を開けたのは……肩で息をするグミだった。

    「はぁっ……はぁっ、か、海人……」
    「うわさをすればなんとやら、ってやつだな」

    女はほくそ笑んだ。

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    投稿日時:2014/08/13 00:20:32

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    カテゴリ:小説[編集]

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