「弱音さんちの留学生」
  第二話 天使の神楽 

PART4「またまたやらせて頂きました~」


この小説は、2013年01月01日に思いついたので、
慌てて忙しい中、書きとめたものです。

ボカマスなどにて、また無料配布小説本のに収録するかもしれません。

起承転結 4章構成になっています。



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「はぅ~・・・」

未だ、頬の熱が抜けぬ阿綾、頭を振りながら溜め息を付いた。
私は彼女の頬から、左手をそっと離し、天依ちゃんの右手の上に添えた。

「うん… 
 天依の手、ひんやり気持ちよくて、大好きです・・・。」

そういってまた赤くなる阿綾。
私はその背を、本堂左のほうへと押した。

「さぁさ、ふたりとも休憩時間よ♪
 ネルちゃん達が戻るまで、私はここに居るから、ふたりはゆっくり遊んで来なさい♪」

はいっ! と元気よく言って、手を繋いだまま駆けだすふたり。

うふふ、またまたやらせていただきました~♪
その先に縁日が立っていることを、阿綾はまだ知らないはずだw

逆転した主従を元に戻すには、触れ合うことに執心中の天依ちゃんを
「くいしんぼうモード」にしてしまうのが、シンプルでてっとり早いw

後で感謝されるにしろ、恨みごと言われるにしろ、どちらも良い酒の肴よねw
そんなことを考えながら、私はもう一つ左を向いて、神楽舞台の裏へと向かった・・・。




「ミク?」

覗き込みながら話掛けると、ちょうど千早を脱いで、
ふぅと一呼吸つくミクが居た。

「あっ、ハク姉ぇ♪」

駆け寄り抱きついて来たミクに、今度は私が頬を染める番だった。


「もう! 緊張と笑いを堪えるので大変でしたよー♪」

彼女も頬を染め、私にしな垂れかかってくる。
私は、はずかしさに視線をそらしながら答える。


「あ、あはは。そうね。」

視線を外しておきながら、私はミクの腰を抱きよせた。
だ、だって、勿体ないじゃない、こんな最高のシチュエーション・・・。
木漏れ日の反射、光に包まれた空間はまだ続いている。
私の天使が、まさにきらきらと輝いている・・・。

彼女も、ちらりと後ろを向いて、嫌がるそぶりもなく身を委ね続けた。

「そ、そうそう。
 さっき、ミクが笑ってた時、阿綾が面白いこと言ってたわよ?」

照れ隠しに、先ほどの喜びを彼女に伝えようとした。

「え? どんなことですか?」

こちらも純真な私のボカロ、興味深々と聴き返して来た。
私は、その上目づかいにヤられないよう、目線を外したまま答える。

「天依ちゃんに、
 いつか一緒に踊りたい、古典曲を書くから、だって。」

彼女の心の変化をそのまま伝える。
良い変化と捉えるかどうかは、受け手次第だと思うから…

しかし、反応は予想外のものだった。


「いいなぁ、天依ちゃん。私もハク姉と舞踊、したいなぁ・・・」

長年、曲を作れないマスターに付き従ってくれた私の天使。
ここで、予想外のおねだりが飛んで来た。

しかも、回避不能、腕の中からの上目づかい付きだ・・・・・・


「しょ、精進いたします。我が天使よ・・・」

「はい♪ よろしくお願いしますね、マスター♪」

苦笑いに対して、満面の笑顔が返ってくる。

あれから彼女は、たびたび私を「マスター」と呼ぶ。
己のボカロにマスターと呼ばせない、歌わせてやれないマスター達、
そんな変わり者ばかりが住む、私達のアパート。

阿綾が、この日本で新しい成長を始めたように、
私達も二人から、新しい繋がり方を学んでいるように思う。


「でも・・・」

ミクは両の掌をすっと重ね、私の胸の上へと添えた。

「もし、また、ここに唄を仕舞いこんだりしたら・・・
 有無を言わさず、奪っちゃいますよ?」

そして右手の人差し指を伸ばした形にし
自分の唇に、次いで私の唇に、そっと重ねて見せた・・・。

「これで・・・ もう、隠しても分かるんですからね♪」

真っ赤になった相貌が見上げてくる。

こ、この潤んだ瞳の上目づかいを、
回避できるマスターなど、いるのだろうか?


阿綾と天依ちゃんの二人が来てから、私達の様相は急激に変わり始めた。

ミクは天依ちゃんの「技能」を覚えてしまった。

天依ちゃんが阿綾にそうするように、私の心の唄を共に歌いたいと願う。
いささか過激な方法で迫られることが増えている・・・。


「そ、そうね・・・ 彼女達はもっと多くを大事に出来るようになるし、
 私達は、もっとお互いに踏みこんで行けるわね・・・」

ますます、桜色を増した笑みが咲く。

「はいっ♪ 大好きですっ、ハク姉♪」


私の相貌も、いまはきっと、5月の花のように真っ赤だろう。


まったく、貴方といい私といい、
自分の感情とボカロに振り回され過ぎよ。

ねぇ、阿綾?

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

【ハクミク、南北組】 弱音さんちの留学生「2話-4章」

ハクとミクが暮らす部屋に、中国ボカロの二人がホームスティに来ました。 年が明けて元旦・・・  第二話の4/4。

閲覧数:180

投稿日:2013/01/13 09:54:01

文字数:2,030文字

カテゴリ:小説

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