目を開けると真っ白な天井と薬品の匂いがあった。
 ここは病室。
「そうか、そういうことか」
 しばらく休養して退院する。
 逸る気持ちを抑えて、身体をしっかりと治す、
 車を飛ばして、丹頂神社へ向かった。
 車を脇に止めた。
「ミクさん!」
 神社に入って、その名を呼ぶ。
 誰も出てこない。
 神聖な雰囲気もない。
「はは、ミクさん」
 俺はこの神社を広めること。
 これが第二の研究テーマにする。
 俺が出来ることだってあるはずだから。
 俺はすぐさま神社を階段を駆け下りて、車へ飛び乗った。
「ミクさん、ありがとう」
 ――その時、丹頂鶴の声が聞こえた気がした。

 俺はそれから、出版社や旅行会社を訪ねて、丹頂鶴神社を紹介していった。
 あの時撮った写真を駆使しながら、精一杯がんばった。
 最初の数年は効果が無かったが、しばらくすると観光客が増え始めて、しだいに町がにぎわい始めていた。
 そして数年前、本庁から神主と巫女が派遣されることになった。
 あれからもう十六年が経っている。
 俺は車を走らせて神社へと向かった。
 着いたときに驚いたのは、建物が新しくなっていたことだった。
 人がまばらに居て、丹頂神社の特色を見て談笑している。
「良かったよ、がんばったかいがあったよ」
 今俺は准教授。今でも第二の研究テーマを追求していた。
 すでに知り尽くした気がするけど、まだ知らないこともあるはすである。
 何かないかな、と巡ることにした。
「あ」
 俺は振り返る。
 そこには、緑髪のツインテールの女の子が立っていた。
 奥には青髪の青年の神主がいた。
 その女の子が駆け寄って、俺をじろじろと見てくる。
「どうしたのかな」すっとぼけてみる。
 俺はそういうと、
「待ってたよ、直行さん」
 ――丹頂鶴の声も聞こえた気がした。
「俺もだよ、ミク」
「ごほん、な、直行」
 年の差も良いかもしれない。そう俺は思うのだった。    END

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雪ミク2018『恋する雪の少女』後編

 雪まつり行きたかった。来年こそ行きたい。

 今回のお話は、鶴の昔話に異類婚姻譚を加えたようなお話ですね。
 もし楽しんでくれたら嬉しいです。

 今回はわりと物語がスムーズに浮かんだ気がします。力が付いてきたのかも。
 分量はまだまだだけど、これからもいろんなボカロで書いていきたいと思う。

 ちなみに今好きな曲は、雪ミクの曲……を紹介したいところだけど、まだ聞いてない。
 雪ミクというより、冬ミクの歌をよく聞いてます。
『ミルクココア/KeN(ケチャッッP)』がおすすめ。何度も聞いてしまう良い歌です。


 次は弦巻マキちゃんでお話を書いてみたい。

閲覧数:596

投稿日:2018/02/13 00:10:02

文字数:826文字

カテゴリ:小説

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