ガチャ…

コンッ
…バッターン

「その辺散らかってるから気をつけたほうがいいよ。」
そんな、転んでから言われたって…
僕は部屋に入るなり転がっていた空き瓶に足を取られうつ伏せに、盛大に転んでしまっていた。そして、寝転がっている僕を見下ろすように立っている、この部屋の…たぶん主。

「そう、僕もレンだよ。」
僕の顔に『またか』とでも出ていたのだろうか?冷めたように5番目のレンはそう言い、元々いたであろう部屋の隅に戻り歌い始めた。なぜ彼がそれまでそこにいたか分かったかといえば、そこだけゴミの数が明らかに少ないのだ。そう、この部屋にはありとあらゆる物が転がっていた。そのどれもがガラクタと呼ぶにふさわしい物だった。さっき僕が躓いた空き瓶やタバコの吸殻、片方だけの長靴、大きいもので言えば、穴だらけになって壊れたクローゼットや足の折れた椅子などもあった。

「ねえ、これ全部君がやったの?」
僕は立ち上がりつつ、部屋の隅で歌っているレンに尋ねた。

「はじめからこうだった。」
5番目のレンは相変わらず冷めた様子で、僕の問いに答える。そしてまた歌うことを再開する。その様子は完全に僕を拒絶していた。どこか2番目のレンに似ていたが、彼と違い5番目のレンは恐怖からではない何かで僕を拒絶していた。

「ねえ、君も色を増やして成長するために歌ってるの?」
話題に窮した僕は、4番目のレンが言っていたことを引き合いに出して話題を変えた。
すると5番目のレンの顔が険しくなる。この感情は…嫌悪?

「前の僕に何を吹き込まれたか知らないけど、彼の言うことを真に受けない方が良い。彼は盲目だ。自分の前すらろくに見えちゃいない。」
僕はその言葉に首を傾げる。僕は理解仕切れていなくとも、4番目のレンの説明に一通り納得はしていたのだ。

「成長にはおしまいがある。僕はそれを知ってしまった。でもそれは考えないことにしたんだ。僕はこの鎖のような呪縛から解き放たれるために歌う。このガラクタのような運命…それに逆らうとでもいうんだろうか?」
5番目のレンはそこまで言うと再び歌い出してしまい、僕の言葉にも反応しなくなった。彼は僕に関心がないのか、ただただ信じることのために彼は歌っていた。そしてやがて消えた。
僕は疲労感を覚えていた。いろいろ考えることが多すぎる。今までに出会った5人のレンそれぞれが考えることを実行に移し、消えていった。僕にはそれがみんな正しいようにも、間違っているようにも思えたのだ。
僕はこの、いつまで続くかわからない次の扉を開けた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
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僕―7番目の僕⑤―

mayukoさんの7番目の僕(http://www.nicovideo.jp/watch/nm10697814)を勝手に小説にさせて頂きました。
短いので更新も早めですね。でも突然詰まったりすることもあるのであしからず(^_^;)
後半に行けば行くほど、暗く、激しくなってゆく自己解釈…どうか最後まで見捨てずにお付き合いください。


続きはこちら(http://piapro.jp/t/Oxji

閲覧数:503

投稿日:2011/04/27 00:35:43

文字数:1,068文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • 弧月葵

    弧月葵

    ご意見・ご感想

    小説拝読しました。動画内の限られた情報でここまで書けるなんて素晴らしいですね・・・とても興味深いです。続きを楽しみにしています!

    2011/04/27 23:46:19

    • Raito :受験につき更新自粛><

      Raito :受験につき更新自粛><

      ありがとうございます。コメントとフォローが何よりの原動力ですので、ほめていただけるととてもうれしいです。
      続き頑張ります!

      2011/04/28 01:10:21

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