――彼に聞いた話をまとめると、こうだ。
ここはもともと時計塔の時計の調整室だったけど、電子時計になった為、使われなくなり、人が入る事は無くなった事。
電子時計になる時に、時計塔の内側への普通の入り口(…って何処?)は鍵がかかり入れなくなった事。
でも設計した人が遊び心で作ったこの隠れ扉のストッパーが外れてしまっていて、それをたまたま見つけて彼が入った事。
せっかくなので、隠れ家的に彼が使いだした事。
――そんなのって、アリ?
そう思ったけど、長くゆるやかな螺旋階段を上った所にあった小さな部屋には、時計塔の調整室だった時と物を変えていないのか、置いてあるものは少ないが、生活は出来そうな空間がひろがっていた。
「すごいね。この時計塔にこんな部屋があるなんて知らなかった」
と、言って、私が彼の方を見ると、一瞬だけ目が合った。
その彼の目は、なぜか泳いでいて、私はどうすればよいかわからなくなった。
――とりあえず、自己紹介?
「え~っと…。私はリン。鏡音リンだよ。よろしく!」
私が自己紹介をすると、彼は、もたつきながらも答えてくれた。
「俺は、鏡音レン。…よろしく。」
――同じ名字!?
――えー、すごーい!初めてだな、同じ名字の人と会ったの!
「じゃあ、名字同じだと呼びづらいし、『レン』って呼ぶね!レンは私のこと、『リン』って呼んでね」
「…勝手にしろ」
そう言って顔をそむける彼の綺麗な顔と髪に、部屋に1つだけの小窓から入る月の光が反射して、よけい綺麗に見える。
その彼の優しげな横顔にひかれて、私はポツポツと話を始めた。
「私、この時計塔のちょうど南にある高校に通ってるんだ。」
「それって、あの学校だろ?」
彼は立ち上がり、窓の向こうの有名私立高校を指差して言った。
それにつられるように、私も立ち上がって窓の外を見る。
そこには、ちょうどまっ正面に真っすぐ進む道の先に、私が通っている高校があった。
…外が暗いのに見えるのは、街の明かりよりはるかに目立つ学校のライトアップのせい。
――アレ?そういえばどうして、
「どうして私の学校知ってるの?」
「俺もさすがに、あの高校の制服は知ってるさ」
今度は私を指差して彼が言う。
私はその時、自分が今、制服を着ていることを思い出した。
「え?あ、そっか。制服着てたんだった」
それから私達は時間が経つのを忘れ、話し続けていた。
話に夢中になっていると、私達の耳に、強烈な鐘の音が響いた。
ゴーン ゴーン ゴーン
――うぇ!?音でかっ!ビックリしたぁ。
この音はおそらく(てか絶対)、今私達がいる時計塔のてっぺんにある鐘の音。
この部屋にくるまでに、結構長い階段のぼってきたから、きっと鐘のすぐ下くらいの場所。
鐘の下からと上からだと、聞える音の大きさが違いすぎて、ビックリした。
ちなみに、鐘が鳴るのは昼の12時と深夜の12時。
――…って、えぇ!?
「もう(夜の)12時!!?」
――スープ…。もう完全に冷めちゃったよね。
私は今頃、急いで帰っていたことを思いだした。
私に対して、彼は冷静に言葉を返す。
「そうだな。そろそろ帰んないとマズイか。」
「今日は楽しかった。ありがとう!また来るね!」
そう言い、私は、時計台を出る。
さすがにもう、ライブは終わっていたため、人通りは少なかった。
『今日は楽しかった。』これは嘘じゃない。
だって、私は彼と沢山話して、沢山笑った。
だけど、話の内容は、笑った内容は、全て私のことだけ。
彼は私に、名前以外、何も教えてはくれなかったー…。
シンデレラシンドロームⅡ【協同解釈】
亜梨亜、テキストデビュー><
…というのは置いといて、、
投稿すごく遅れてしまってスミマセンでした;;
芽梨沙s、次から頑張ってくd((スミマセン。。
3話は芽梨沙sが急いで書いてくれるはずです!
この作品を投稿したのは1月くらいですww
芽梨沙さん作素敵なシンデレラシンドロームⅠ↓
http://piapro.jp/t/2qMA
芽梨沙さん作素敵なシンデレラシンドロームⅢ↓
http://piapro.jp/t/PG_L
シンデレラシンドローム本家様↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm13673226
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もっと見る「レェーーーンっ!」
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心の中で、レンの...シンデレラシンドロ-ムⅢ【協同解釈】
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注意書き
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