廊下で見かけた。
 まるで漫画のヒロインのように可憐で――
 ひとめ見て恋に落ちた。
 ホンキのホンキで好きになった。




 でも。。。
 僕のみれくれじゃ、きっと嫌われてしまう……










 僕、初音ミクオは典型的な「オタク」。
 漫画大好き。アニメ大好き。ゲーム大好き。これは大きい声じゃ言えないけど、萌えキャラとか美少女キャラとかも好きだ。絵も描いていたりして、ネット上で公開したりしている。それが結構ウケて、今では結構な数のファンがいる……といっても、3ケタくらいの人たちだけど。それでも僕は、僕の絵を楽しみにしてくれている人がいるというのがすごく嬉しい。
 今まで好きになってきたのは、紙の上の人だったり、映像で動く人だったり、ゲーム機を操作するたびに返事が違う人だったり。
 そんな僕が、「人」に恋した。








 初恋、だった。



 そう、初めての恋、だったんだ。







 それから僕は、その子と同じクラスだったことを知る。
 なんてバカなんだ僕は。クラスにこんな可愛い子がいたなんて、知らなかった。
 初音ミク。
 同じ名字だからって、運命を感じたわけではない。ただ、少しくらい話せたらいいな、なんて思ってた。






 くすくす。
 笑い声が聞こえた。
 いいんだ。こんなの、慣れっこだから。
 休み時間、次の授業が始まるまで、何もすることがないから、僕がすることといったら絵を描く事くらい。僕はデジタルより、アナログの方が好きだったりする。ほら、元絵がきれいだとあとからデジタルでつけたす時によりきれいに見えるでしょ? 一日一枚、描くことを目標にしてる。描きあげれなかったら学校に残って、描いてから帰る。まあ、部活みたいなものかな。部費なし部員一人の。部員募集はしていない。一緒に描く人がいれば楽しいなとは思うけど、さ。
 だけど、笑われるたびに胸が張り裂けそうだ。




 僕は今、初音さんの絵を描いてる。
 涙を浮かべながら笑っている顔。僕は、こういう顔が好きだ。
 この絵だけは、時間をかけて描くことにした。
 ある日、初音さんの鼻の形が知りたくてなんとなく初音さんを目で追っていると、
「あの子さっきからこっち見てる……」
 初音さんの友達が言った。
「なんなのあれ気味悪いわ」
「近づかないでネクラさん」
 ごめんなさい、そんなつもりじゃ……。
 僕は思わずうつむいた。




「私、この人知ってる!」




 初音さんの声だ。
 唖然呆然。何を言っているんだろう?
 知ってるも何も、同じクラスじゃないか。

「掃除当番だった時、見ちゃったんだ。机の上に置いてあった、ノートの絵。全部キミが描いてたりするの?」
 ああ、また笑われる。よりによって、初音さんに見られるなんて、死んでしまいたい。
「ああいうの、好きなんです」







 ――初音さんと会えて、よかった。

 いやきっと、僕と初音さんはそういう運命だったんだ。何憶何万光年離れていようが、絶対惹かれあっていた。
 そこにどんな障害があっても、乗り越えて。


 これが本当に運命なら、僕はまさにヒーローだ。




 それから、僕と初音さんはよく話すようになっていった。
「今までおんなじような趣味の人とか会った事なかったから、びっくりした」
 初音さんはそう言って笑う。可愛い。


 もうじき、あの絵が完成しそうだ。




「あの……さ、ミクオ君って、イラスト公開したりしてる?」
「してるよ」
「えと、その、あの」
 珍しく初音さんはおどおどしながら、
「90さん?」
 なんで知ってるんだ?
 90というのは僕がネットで使っている名前で、ミクオからクオ、90ととったんだけど。
「私、Hatsu」
「……Hatsu?」
 Hatsu。僕のファンで、ブログの常連で、メル友で、よくチャットとかする仲のいい子。
 初音さんが、Hatsuだったなんて!
「絵を見た時から、そうかなって思ってたんだけど、90さんだったなんて!」
 仲のいい割にはオフしようとかそういう話にはならなかった。たぶん、Hatsuは遠くに住んでるだろうと思ってたんだけど。
「嬉しい」






 僕も、Hatsuが初音さんで嬉しい。


 だってHatsuは、僕がまだ人気がないころに、一番最初に絵を褒めてくれた人なんだから。




 今日の掃除当番は、初音さんと一緒だった。嬉しすぎて死んでしまいそうだ。
 トイレに行って帰ってくると、初音さんが箒片手に僕の絵を見ていた。
 初音さんが泣いている。
 僕、悪いことしたかな……?
 初音さんだけには嫌われたくない。他の全人類に嫌われようが、初音さんだけにはそばにいてほしい。
「あ、ミクオ君」
 教室に僕が入ったのにようやく気付いた。
 手で涙をごしごしとふいてから、
「この子、強がりで、でもホントは泣き虫で、……えっと、これってまるで私みたい」
 初音さんが見ていたのは、初音さんの絵だった。
「これ、初音さん」
「え?」
「この子、初音さんなんだ。勝手に書いてた。ごめん」
「……ッ」
 初音さんは、さっきよりもっと勢いよく泣き始めた。
「え? どうしたの? ご、ごめん」
 彼女の涙を止められないなんて、なんて僕は無力なんだろう。どうしたらいい!?
「……私、そっくり。泣き虫で、強がりで、……90さんに私の絵を描いてもらえるなんて、嬉しくて」
 やっと笑った!
 絵の初音さんと、同じ顔をしている。




 でもね、違うんだ。
 この絵を描いていたのは、90じゃない。
 僕なんだ。


「ありがとう」








 僕が生きる意味。
 アニメを見る事。漫画を読む事。絵を描く事。ゲームをする事。



 そして、キミを守る騎士になる事。
 キミの王子でなくていい。ただ、キミを守りたい。


 でも、いつかきっと。
 僕の左手には、彼女の右手があって。
 ぎゅっと握って、離しはしないから。












 そして僕は、キミに出会う。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

【クオミク注意】ヒーローになるための方法

タイトル関係なしですw思いつきです。駄文です。


すんごい遅れましたがミクさんハピバ! 愛してます(((
ミクさんに会えなかったらほんと私は死んでました。ちーん。

海亜が『君の知らない物語』の解釈書いてて、それまでボカロ以外のsupercellを聞いていなかったから聞いてみたら、好きになっちゃいました。
何気に解釈文書くの好きです。
ryoさんといったらやっぱりミクだね!!
あ、えと、つまり、supercellの『ヒーロー』という曲の解釈です。


分かると思いますが、クオの『90』は『クオ』、ミクの『Hatsu』は『はつ』です。


クオがミクの鼻の形を知りたいと思ったのは、絵に描くためです。変態だからじゃないです。
でも鼻の形って絵で表せるもんなのか?

■9/7 注目の作品ありがとうございます!

閲覧数:900

投稿日:2011/09/04 14:19:39

文字数:2,524文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • 紅華116@たまに活動。

    思わずブックマークを連打←

    なにこれ!!めっちゃいい解釈じゃん><
    実はこの曲、前、CDのレンタルショップでsupercellさんのアルバムを借りたときに聞いて凄く気に入った曲なんだ♪
    tk私もクオと同じオタクなんですけどww私の学校はオタク多いからな←
    昼休憩に流れる曲はがアニメのOPだったりするwwあ、ボカロの歌ってみたも流れるけどwww

    勉強が分からなくても何とかなるって!←無責任
    私はボカロの曲を頭の中で流しつつ、テンションあげて勉強してるww

    2011/09/07 21:11:17

    • 絢那@受験ですのであんまいない

      絢那@受験ですのであんまいない

      ブックマーク連打したらわけわからない事になるよね←

      あ、ありがとう! 紅華大好き! 愛してr(((
      supercellさんの曲はどれも神すぎてどれが好きといったらいいのか分からない((え
      私のクラスにはオタが五人くらいいるのになぜか他のクラスには一人しかいないというww
      アニソン結構私のところも流れる^^ ボカロで消失流れた時は感動で涙が…

      うん、私もそう思う! 勉強なんて世の中でいらないものトップ5に入る!
      そもそも勉強という行為ができないんだ←

      2011/09/08 06:23:53

  • シベリア

    シベリア

    ご意見・ご感想

    ちょwちーん。ってwwwwでもうちもミクに出会えてなかったら死んでたねwちーん、ぽくぽくp((

    いいなぁ…うちもオタクだから是非クオたちと友達になりたい!!
    クオのイラストみたいなー。ミクもミクでうらやましいぜ…!好きな絵師と同じクラスなんて!
    サインもらい放題じゃないか!!((

    駄文じゃないよ!うちのほうが駄文だよwいつもネタだけ決めて書いてるから!
    それにうち、ずっと放置だったしww
    テストやだねー…ていうかうちも全教科マジでわからないwwリアルにやばい^p^

    2011/09/03 16:45:17

    • 絢那@受験ですのであんまいない

      絢那@受験ですのであんまいない

      てなわけでミクさんは本気で天使なのです(((
      ミクさんに出会わなければ今頃私は…ww

      クオのイラストはシベリアなみに神ってるという設定←
      ミクをオタにするのはものすごく抵抗あったけど(←クオにはあんまりなかったww)、書いてたら楽しくなってきたww
      好きな絵師と同じクラスだったらほんともう毎日絵描いてもらうww 「toチミー」入りでw

      いや、私はネタも決めず書き始めるからw
      ギャグとか入れてみたいけどできてないし。。
      あれ? 確か四月ごろ書き始めた奴がまだ全然完成してないような…?www
      特に数学と国語と理科と社会と音楽と技術と保体と英語が分からない(((諦めて全部と言え

      2011/09/03 17:09:28

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