ボカロ一家でハロウィン小ネタSS。

 * * * * *

1.
「なーマスター」
「お願いがあるんだー」
「お願い? なんだい、リン、レン」
「「ハロウィンやりたい!」」
「ハロウィン? ……具体的には?」
「仮装してー」
「お菓子貰ってー」
「「悪戯する!!」」
「いやおかしいからソレ。お菓子貰ったんなら悪戯はやめなさい」
「えー」
「つまんねー」
「でもお菓子欲しいしなー」
「まあなー」
「『Trick and treat』は持ち歌だけにしといてね……」


 * * * * *


2.
「というわけで、ハロウィンパーティする事になったから。皆で準備してね」
「はい、マスター。……具体的には?」
「覚えのある台詞だな……どっちがどっちに似たんだか」
「?」
「いや、こっちの話。仮装と、お菓子の準備くらいかな? 飾りつけもしたかったらどうぞ」
「あっ、マスター、オレあれ作りたい! カボチャの」
「あー、あたしも! ジャック・オ・ランタン!」
「定番ですね。けれどあれは日本のカボチャでは難しいのではありません?」
「確かに、ネギの横に並んでるあのカボチャじゃあ」
「ミクちゃんの視界はネギが基準なの……? えーと大丈夫だよ、食品コーナーじゃなくてお花屋さんに売ってると思う」
「あぁ、そういえば去年見たわね。もう入ってるかしら? 後で確認して、ついでに買い物してきて」
「え、ちょ、めーちゃんはどうしてそう買い物を押し付けたがr
「何かしら、カイト?」
「イエ行ってきます」
「……相変わらずですね、カイトさん」
「お兄ちゃんも学習しないよね……」


 * * * * *


3.
「ところで仮装っていうけど、皆 衣装は作れるのかい?」
「「「あっ」」」
「えっと……お姉ちゃ
「よろしくね、カイト」
「えっ俺? ってまさか全員分?!」
「あー器用だもんなぁカイト兄、頼んだ」
「わーい、よろしくカイ兄ー!」
「ちょ、……仕方ないなぁ。じゃあお菓子はめーちゃんが作ってくれる?」
「カイト、喧嘩売ってる?」
「え?! いやそんなつもりはっ」
「本当に学習しないねぇ、兄さんは。うちのめーちゃんは細かい作業が苦手だったろう」
「あ」
「お願いするなら、お菓子より夕食にするべきだね。めーちゃんも、それならいいだろう?」
「う、……えぇ、マスター」
「じゃあお菓子作りは手伝うよ、お兄ちゃんっ」
「では私は裁縫のお手伝いをしましょうか」
「あー、オレらはどっちも邪魔しそうなんでー」
「だよね……。飾りつけ係、って事でー」


 * * * * *


4.
 ~当日~

「「Happy Halloween!!」」
「お招き戴き、かたじけない」
「あらお隣さん、いらっしゃい……って」
「え、神威君?! はー、髪下ろすと印象変わるねぇ」
「う、うむ……我としてはどうも落ち着かんのだが、妹達が」
「いいんじゃない、仮面舞踏会っぽいわよ。洋装も似合うじゃない」
「ですよねっ! メイコさんも素敵ですー!」
「うふ、ありがと。グミちゃんも可愛いキョンシーね」
「リリィちゃんは和幽霊なんだ。和洋中取り揃えだね」
「は、はい。それよりあの、カイトさんのその有様は……」
「これリリィ、『有様』とは失敬であろう」
「いや、だってさぁ」
「いいのよー気にしないで。ねぇカイt……っはは、むしろ皆よく耐えてるわねー!」
「酷いなぁめーちゃん。立派な仮装じゃないか、一反木綿」
「だって着ぐるみよ? 真っ白いトコに顔と手足だけ出てんのよ、笑うわよっ」
「ですよね、笑って良いトコですよね?!」
「身体張ってますよねー! 流石カイトさん、『仕事を選べない』の二つ名は伊達じゃないと」
「それも失敬だぞグミっ」


 * * * * *


5.
「あっ、お隣さん、いらっしゃーい! わー、グミちゃんもリリィちゃんも可愛いー!」
「お、がくぽもカッコイイじゃん。落ち武者とかで来るかと思ってたぜ」
「「ってわけで、Trick or treat!!」」
「うわ、いきなりっ」「待って待って、お菓子持ってるっ」
「これに用意してある故、悪さはご容赦願いたい」
「へへー、大漁っ♪ 皆ありがとー!」
「さんきゅ。でもなー、やっぱ悪戯も惜しいよなー」
「ねー。ってわけでー、カイ兄ー!」
「ん? 何、リンちゃん」
「っぶはっ、やっべカイト兄、破壊力ハンパねーよそのカッコ!」
「ってこれデザイン指定したのレン君だろー!」
「いやー流石だねオレ、あっはははっ」
「ちょっともー、レンー……ぷぷっ、とにかくー!」
「「Trick and treat!!」」
「えっ今、このカッコじゃ……『and』?! 『and』って言ったー?!」
「言ったよー! やっちゃえ、レン!」
「おうよ! 覚悟しなー!」
「っわーーー!!? 何それ絵の具っ?」
「やーやっぱ真っ白はつまんねーだろ、ゲージュツ的にしてやっから」
「ちゃんとハロウィンカラーだからねっ♪ えーと『バ・カ・イ・ト』……と」
「色の問題じゃなーい! っていうかリンちゃん酷い……!」


 * * * * *


6.
「うわぁ、容赦ない」
「何か……本領発揮、って感じ……?」
「やぁ3人共、いらっしゃい。――おぉ、やられてるねぇ」
「これはマスター殿、お邪魔致しております。あれは……止めに入るべきでしょうか」
「いやいや、お構いなく。カイトはわざとやられてるから」
「えっ」
「わざと、なんですか?」
「リンもレンも、悪戯も捨て難いようだったのでね。カイトにあんな仮装をさせたのも、ああしてキャンバス代わりに落書きをしようと最初から計画していたようだよ」
「カイト殿は、それを承知しておられたのですか」
「具体的なところは別だろうけどねぇ。悪戯を受けるつもりはあったみたいだよ。折角用意したお菓子、キッチンに置いたままだったしね」
「何か……笑うトコだったのに、見直したかも」
「身体張ってますねー。流石はカイトさん」
「然り。この兄も見習わねばな……!」



全く、リンもレンも楽しそうだ。『and』は持ち歌だけになさいと言ったのにねぇ。
どれ、頑張るお兄ちゃんの為に、写真を撮っておいてあげようか。
背中一杯に書かれた『バカイト』の文字と、それを囲うハートマークを。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

trick×treat!!【ハロウィン小ネタSS】

ハロウィン大好きなもので、10月限定でブログの拍手に入れていた小ネタです。
6本目だけ、こちら用に追加しました。

折角だから賑やかに、と思って皆書いたら、『夏海讃歌』シリーズの人達っぽくなりました。
折角だからとお隣さんも参加してもらいましたが、GUMIとLilyの書き分けがイマイチ…;
ミクとルカも台詞だけじゃ区別付け辛くて、後半出なくてごめんなさいな感じになりましたorz

 * * * * *
同家設定↓
『夏海讃歌』(http://piapro.jp/t/l_7x
『プール賛歌』(http://piapro.jp/t/1P_r
『アイス哀歌』(http://piapro.jp/t/NGwz

*****
ブログで進捗報告してます。各話やキャラ設定なんかについても語り散らしてます
『kaitoful-bubble』→ http://kaitoful-bubble.blog.so-net.ne.jp/

閲覧数:408

投稿日:2010/10/31 02:02:13

文字数:2,617文字

カテゴリ:小説

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  • アリサ

    アリサ

    ご意見・ご感想

    こんにちは
    アリサです


    ハロウィンですねー
    アレ,お菓子大量ゲットのチャンスですよねww

    カイト,可愛いですねー
    皆の仮装の絵が見てみたい……



    それでは,失礼しました~

    2011/04/02 12:54:21

    • 藍流

      藍流

      こんばんは、アリサさん。
      我が家のがくぽツアー、どうもありがとうございますw

      ハロウィンネタは書きつつ、イラストも描けたら良いのになぁと嘆いてましたねー。
      脳内にイメージはあるものの、描けない&描いてもアナログオンリーでUPできない……なので;;

      2011/04/03 02:45:01

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