「レン!早く起きなさいよぉ!!」

突然聞えたリンの声に俺は目を覚ます。
付き合い始めてから約6年。彼女の金髪はすっかり長くなって胸辺りまである。
彼女は俺が起きたのを確認するなり、すぐさま腕をぐいっと引っ張った。それと同時にリンの長い髪が揺れて俺の頬をなでた。

「んもう!!今日は二人で出掛けるって、約束したじゃないの!!もう10時よ!!??」

「あぁ、ごめんごめん・・・」

俺はヘラっと笑い。なんの前触れも無く彼女の頬にキスをする。

「なっななななな何すんのよ!!!」

「えーだってぇ、リンがすっごく可愛く見えて☆」

「はぁ!?『見えて』ぇ!!??ふん!どうせ私は『見える』だけですよ!!」

むきになって切り返すリンは、見てて面白い。性格と仕草だけは子供の頃からずっと変わらない。
まぁ、これ以上からかうのもなんだしな。

「早く・・・顔洗って来なさい」

「はぁーい!」

リンが嘆息しながら言うが、そんな事全然気にしません!俺は俺だもんね!AHA☆
顔を洗い終えて、パジャマから普段着に急いで着替える。そんでもって髪を・・・そうだった、この前髪切ったんだった;;まだ慣れてないから長髪の頃の習慣が残ってるな;。てことで今の俺は短髪ヘア。これはこれで洗うときとか楽で良い☆ちなみに今日のコーディネートは白黒ボーダーの長袖Tシャツに薄手の黄色いパーカー。その上からレザージャケット。下はジーパンでシンプルに。そして猛スピードで玄関までダッシュ!!=3
リンはもうすでにブーツを履いて鍵をジャラジャラといじりながら俺のことを待っていた。その目はもう、般若並みに鋭かった!!

「遅いよ?」

「すんません;;」

「いいよ。おごってもらうし」

「うん。リン、それいつものことだから」

会話をしながら俺は急いでスニーカーを履く。黒だからこれもまたシンプル。でも内側が赤のチェック柄なので、上のほうをちょっと曲げれば、おしゃれなカンジ☆

「はい。鍵かけてね」

俺は半ば強制的に鍵を渡される。まぁ、嫌いじゃないけどさ・・・。

リンが買い物をしたいと言うので、俺たちは近くのショッピングモールに行くことにした。・・・結構カップルいるな・・・
リンは衣服の店をあちこち歩き回り、気になったものは自分の身に当て、「どう?」と俺に聞くので、その度に「可愛いよ」と俺は答えるのだった。女の子って、服とかいちいち見回ってから気に入ったものを買うけど、正直面倒じゃないのかな?目的もなく行きあたりばったりなカンジで「これイイ!!」ていうのが多い気がする。少なくとも、リンはそうだ。気に入るものはあるけど買うにはちょっと、というのが多い。これがいわゆる、『ウィンドーショッピング』というものだろう。俺としては疲れる気もするが、前を歩くリンはすごく楽しそうなので、まぁ、それはそれで良くなる。
しばらくして、もうお昼になっていることに気がついた。

「なぁ、リン。お腹空いてない?」

「うーん・・・。そうだねぇ。じゃ、お昼行こうか!」

「何食べたい?」

「そうだなあ・・・クレープ!」

「クレープ?本当にそれで良いの?」

「うん!クレープだったら甘いのもご飯的なのも両方たべられるもん」

リンさん・・・。それはとんだ勘違いだぜ?俺が言っているのは、それだけで足りるのかっていう話。種類とか、そういうあなた好みの味とかは聞いてないんですよ。
リンとの話のかみ違いさに違和感を感じながらも、俺たちはひとまず、クレープを食べに行くことにした。

「ここのクレープ屋さん、俺も友達とよく来るんだ」

「へえ、そうなんだぁ・・・。でもレン?」

「ん?」

「男子だけで来るにはちょっと可愛いお店じゃない?」

確かに、壁には壁紙が貼られてあり、それは小さな苺が描かれている。椅子は赤。テーブルにはフリフリが付いてるクロス。

「まぁ、こういう趣味のやつがいてさ」

「ふーん・・・可愛い人なんだね」

「うん・・・『好み』がな」

言えない!ここに連れてきてくれたのはカイト兄だなんて、絶対言えない!!口がさけても言えない!!死んでも言えない!!←
「カイト兄はこんな可愛い趣味の人なんだよ☆」だなんて知ったら、このコは明日からカイト兄との距離をいっそう広げてしまうであろう!!そんなこと、同じBrotherとして出来ねぇ!!!
なーんてことを考えていると、リンの声が聞えた。

「レン?何にするの?」

「あ、ああ。じゃあ俺はツナマヨで」

店のお姉さん。待たせてしまって申し訳ありませんでした。俺は心の中で深々と注文のお姉さんに頭を下げた。

「ねぇ・・・ツナマヨって、美味しいの?」

リンが怪訝な表情で訊いてくる。俺は「ツナマヨはな!」とそこから注文した品が出てくるまでの約15分間、クレープの「ツナマヨ」について語らせてもらった。その間、リンは表情を変えず、真剣に俺の話を聞いていた。多分、顔こそ真剣だが、頭のなかはワンダーランド☆だっただろう。

「・・・ってわけだよ。すげぇだろ?」

「うん。すごいよ、ツナマヨ」

その店のクレープは屋台のクレープ屋とは違って、お上品に皿に盛り付けて下さる。ありがとう!お姉さん!別に盛り付けてるのはお姉さんではないが、なんとなく思ってみる。

「リンも食べる?」

「あー・・・あたし、マヨネーズがあんまり好きじゃない(嫌い)だから、ご馳走様ですm(--)m」

「っなっ・・・!!!」

だったら、さっきの「ツナマヨ」に関しての俺のうんちくは、つまりはリンにとって、っどぉーでもいぃ事だったのか!!!最初に言えよ!このバカたれがぁ!!!!「ツナマヨ」で15分間語れるとか、恥ずかしいことさせんなや!!!
俺は少し涙ぐみながらも、愛するツナマヨを食べ進めた。
お互いのクレープを食べ終わり、会計、そして店から出るとき、リンの口元にクリームが付いていることに気がついた。
俺は先に歩きだそうとするリンの腕を掴み、こちらへ引き戻す。

「待って」

「なぁに?どうしたn・・・」

リンが言い終わるか否かのタイミングで、そのクリームを舐めとる。というよりも、口元だったということもあり、よく考えなくてもはしたない行動だった。数秒して顔を離すと、そこには硬直したリンがあった。

「なっなななななにゃにしゅるのっ!!??」

今日は『噛み噛みDay』ですな。ま、今日は俺も『前触れ無しDay』だしね。そこんとこは謝るよ。

「ごめんねー前触れ無しで。そこにクリームが付いてたんだよ」

「ああっぁぁあああああそそそそう!しょれはありがとうございますぅ!!」

まだ噛み噛みなリンが面白可笑しく、リンに今度はちゃんとキスをした。深く。不覚?リンの口に残る甘いのと、俺の口に残るしょっぱい味が混ざり合って。それが二人の口を潤して。。。

俺はリンを解放すると、その左手をしっかり握りしめ、歩きだす。
リンは俺に引っ張られるようについてくる。

「次はどこに行くの?」

「スーパー行って、買い出しして、帰ろう。そして二人で夕飯作ろう?」

こういうのは男のほうから言った方がなんか良い気がする。女の子って、肝心なときこそ内気になるからな。

俺はリンの手を引き、スーパーへと向かった。



良い夫婦って、こういうカンジなのかな・・・?



俺がそんなことを考えてるなんて、リンは思ってないんだろうな・・・。



ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

いい夫婦の日・・・?


前のバージョンの作品を、一部訂正しました。



Brtherとかね・・・くそっ!

でも英語は好きです*

閲覧数:469

投稿日:2010/12/05 18:07:16

文字数:3,083文字

カテゴリ:小説

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