柏崎夢乃の投稿作品一覧
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捕らえられた少女は、城の牢獄の窓からひとり月を見つめていた。
処刑は明日の午後三時。
けれど、明日で命が尽きるというのに、なぜかその顔にはこころなしか満足そうな笑みが浮かんでいた。
「こんばんは、王女様」
声をかけられた少女が振り向いた。
月の光がちょうど逆光になって、少女の顔は半分闇に沈んでいる。...「それぞれの悪~ある国の物語」
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手紙も デンワでさえも
言葉では ひとの心をつなげないと
痛みとともに知らされたあの日
ぼくは
生きることのイミを探しはじめた
くちづけも かさねた肌さえも
遠すぎて
ひとの心はつなげないと
哀しみとともに知ったあの時
ぼくは...夜を駆ける
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罪のない笑顔で
私を傷つけるあなたが嫌い
優しいその手で
私を傷つけるあなたが嫌い
私のことなんか何もわかってないくせに
知った風な言葉で
私を傷つけるあなたが嫌い
優しい瞳で
私を傷つけるあなたが嫌い
私のことなんか何も見てすらいないくせに...Dilemma~言いたいこと/言えないこと
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彼岸花 彼岸花
悲しい思い出
優しい慰めも 真っ白な忘却も
今の僕には訪れない
赤い花が道端に揺れる頃
僕は君を思い出す
触れると痛い記憶の欠片
僕と君のすれ違い
彼岸花 彼岸花
悲しい思い出...彼岸花
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道化師になろう
誰にも言えない心を閉じ込めておくために
――さあ もう時間がない
三文芝居の舞台の幕が開いてしまう
道化師を演じる準備はできてるかい?
流してはいけない涙は
先に目許に可愛らしく描いておこう
くちびるはほほえみのかたちになるように
真っ赤なルージュをひいておこう
瞳は笑顔で隠さなくっ...道化師