タグ「小説」のついた投稿作品一覧(5)
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愛好
「好き」「愛している」なんて言葉を人に向ける資格なんてない。
「誰にもそんな資格、必要ない。」
なんてのはもう、
その言葉が要らないのと同義だ。
綺麗事の無くなった世界で、心と言う生物は、
どうやって欲望を満たすのか。
愛されたいだとか、好かれたいだとか。
全て真っ白な世界。
それでもきっと、...愛好
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ifになる。
酷く長い夢を見ていた。
その夢を現実と思って生きていた。
現実は何も変哲のない僕で、
見ていたものは華やかだった。
でも僕は改変出来た。
過程は何処までも変えられた。
猫が死んでも変えられた。
祖母が死んでも変えられた。
それらは今生きている。...ifになる。
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一昨日。
潰えた。
そんな気持ちで過ごしているのは、
きっと蜒だけじゃない。
明日には晴れる。
そう思えたのは一昨日までの閾ェ蛻。
言葉にしたいが言葉その物が足りない。
存在する語彙より感情の数が上回る。
ありったけの言葉をホチキスに留めて、
読み返せば脱字ばかり。...一昨日。
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鋏
理解出来ない事だけは理解している。
それを理解と呼べるのであれば。
何を出来るわけでも、何かすべきでもない時間。
この間に言葉を紡ぎたい。
虚無と呼ぶには重すぎる。
日常に戻ると、あの間は切り取られている。
夢から覚めた瞬間から、過ぎ去る時まで。
キリトリ線が引かれ、芸術と呼べる迄に丁寧である。...鋏
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ワードプロセッサ
恐らく僕は生きている。
味のない肉を咀嚼している。
鉛のように重い顎で咀嚼している。
乾いたそれは喉に詰り、嘔吐しかけるも口に留まる。
言葉を反芻し、繰り返す。
苦虫を噛む思いで繰り返す。
塩辛い液体でようやく流し込む。
吐き出す物が血に代る。
生きている実感を持つ。...ワードプロセッサ