愛好

「好き」「愛している」なんて言葉を人に向ける資格なんてない。
「誰にもそんな資格、必要ない。」
なんてのはもう、
その言葉が要らないのと同義だ。

綺麗事の無くなった世界で、心と言う生物は、
どうやって欲望を満たすのか。
愛されたいだとか、好かれたいだとか。
全て真っ白な世界。

それでもきっと、白紙では無くて、
名前も尽きずに形がある。
そんな真っ白な世界は、漂白剤。
或いは雪景色。
綺麗事を無くした事で綺麗な世界になるなんて。
皮肉に満ちていて、何処かドス黒い。

そうして見付けた肌色は、鋼鉄に色を塗っただけの紛い物だった。
求めているのは温もりで、白い世界の鋼鉄は、言わずと知れた氷点下。

冷えた指先を頬に当て、忘れかけていた温もりを感じる。
それが本物かはわからない。
しかし、爪から滴る赤い体液は鮮やかで、
また世界に色彩を齎した。

ライセンス

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愛好

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投稿日:2021/02/08 12:55:53

文字数:379文字

カテゴリ:小説

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