ふぇるみな

昨日張り替えたばかりの
六弦がまた切れた
それはそうと聞かせてよ
君の話を
僕の方は相変わらず
部屋の片隅で
うつろな目をした自分に
酔って生きてる
何もかもが希薄で
何もかもが過剰で...

今日も一日疲れたよと
ため息ひとつ帰り道
眩しすぎる街の灯りも
わたしの心までは届かない
くだらない仕事くだらないなりに
適当にやって金もらって
生きてけるならラッキーだねと
思えたらいいのに
それだけじゃ足りなくて
このままじゃいけなくて...

聞いてちょうだい
今日あったこと
駅のホームに上る
エスカレーターに乗ったのよ
あたしは手摺りにつかまって
何かを考えていたのに
微妙に手摺りの方が速いから
気をとられて全て忘れたわ
　　ねえ　あなたもそんなふうに
　　あたしを置いていって　少しずつ...

だらしなく流れ落ちる赤
重力に従う滴りを　ただ許容した
荒れ果てた部屋で
擦り切れた心で
僅かな理性を手繰り寄せ　捨てた
そんな妄想か或いは現実を
どうにかしてどうにかする
もうわけも理由（わけ）もわかんなくなって
歌いだす
　　この手を濡らす命の証が...

夢に描いた億万長者
来る日も来る日も夢に終わり
むしろ買わずに貯金したなら
今頃ちょっとは小金持ち
少しは違うかもと売り場変え
運を呼ぶという招き猫も買い
wktkしてた抽選日には
無情な数字が並ぶ
それでも
来週も買いに行くのよ...

そのことに気づいたのは
いつかの夜の闇の中
僕のことがわかるの？
僕の声が聞こえるの？
頭上のねじの山に向けて
生まれて初めて届ける言葉
"僕はこの小さな工具箱で
ただ一本のプラスドライバー"
頭上のねじの山の中から
生まれて初めて届く言葉...