浜南米

後部座席を深く倒してスマホ握りしめて
不機嫌そうに顔を顰めて景色を眺めてる
左折手前の赤信号で話しかけてみても
聞こえてるのか聞こえないのか 信号が青に変わる
グラウンド脇の小道 車停めると
ポツリと低い声でありがとうと呟いた
二十歳を迎えても無理をしなくていい
嬉しいことや楽しいと思うことを大事に...

母さんの胎内に宿った生命
笑顔に溢れた毎日の始まり
父さんは少しでも早く帰ろうと
心の中で君の名　呼び続けた
やがて頸が座り　乳離れをして
いつか言葉を覚えて　歩き出し
産まれた時の君の声は力強く
生命の息吹　大きな希望　刻み込んだ
僕らは君のことを見守っている
いつでも　どんな時も...

草を掻き分け枝を振り払い泥濘に足元取られながら
探してるのは王家の隠れた秘宝か七星の玉か
ここはどこだろう？磁石もなけりゃ北か南か西か東かも
緯度や経度や季節や暦や時刻も知らされないまま
楔打ちつけ崖をよじ登るじりじりと指を焼く紫外線
掴んだ岩が剥がれて奈落の底へと転がり落ちれば
どこにいたのか？こ...

利権の陰に隠れし身の上
袖の奥にまでモノが溢れてる
世間の声が届かぬ領域は
下世話　馴れ合いと探りと縁故のみ
いざとなりゃ態度はえげつない
汗染みた努力は水の泡　アホ
反旗掲げ　文句言う　マジで文句言う
ガチで文句言うあんたを讃えたい
喰らえ天誅　なにが御中
媚びて安住するほどアホでない...

畑仕事が終わったら
冷えたビールを飲みましょう
壁に丸椅子立てかけて
茹でた枝豆　摘まみましょう
畑で飲むビールは　無二の味　
草の匂いと夕暮れに
畑で飲むビールは　無二の味　
とんぼ公園に陽が沈む
もうすぐトマトも終わります　
風が冷たくなってきた...

河口付近からビーチまで　てくてく浜辺の散歩道
どこからか流れ着いた流木を拾った　あー
肝心要の櫓には　トンビが一匹寝てるだけ
拾い上げた流木で 釣り竿を作った
たまたま持ってた濡れ珍味 塩辛
釣り針の先にちょこんと突き刺して
テトラの隙間にぽちゃりと落とし込んでみたら
いきなりピクリと引きが...

古の寡黙な工夫が築いた石垣港
月を背に反り立つ岩山　戦の傷跡を残す
凪を待つ烏賊の釣船が　逆巻く潮に軋む　
立ち尽くす風の防波堤　千切れた飛沫を浴びる
迫り来る　海の哭く声　ホウホウと
波の音が胸に響く　寄せては退いてゆく
月の明かり　海を照らす　切なさが呑まれてく
朽ちかけた船家の礎　潮風吹き付け...