子森久伊亜の投稿作品一覧
-
雨にさえ気づけなかった
震え続ける全身が
あいつの目を追って
何処へ往くか分からない
最後 伝えたかったのは
アリガトウかサヨウナラか
雨の音を聴いて
あいつの足音さがしてる
ひとりになるなら 誰をも寄せずに
耳などふさいで 目をつぶればいい...唄音ウタ - 雨に焼ける骨
-
おい、おい 根雪はどこ どこどこ ねえ
おい、おいでの手招きに怖がらないで
おい、おい 凍えはどこ どこどこ ねえ
お帰りよ、のサヨナラにこわばらないで
明かりが灯くよ
子供が怒る夜、こだまと
ふさがる四つの耳
両手も借りずに
おい、おい 根雪はどこ どこどこ ねえ
おい、おい 根雪はどこ どこどこ...雪歌ユフ - 根雪おいおい
-
あふれる背中を抜け
かかとを競う道で
名前を呼ばれたって
瞬間、止まれもしなくて
僕よりはくたびれてない表情の君がいた
あの日残したままの自分がよみがえる
―― 赤の信号で何にも言えずに
「じゃあね」で手を振ったまま
僕はそこに置き去りさ ――
青に変われば仕事場までもう少し...轟栄一 - 気まぐれシグナル
-
引き出しの奥
古い古い忘れ物
鈴一つ
錆びついて
音はもう鳴らない
けど目を瞑れば思い出せる
その時 ふいに
彼と同じ音色の
カラリン、と
鈴の音が遠くて響いた...唄音ウタ - 最後の鈴の音
-
閉じた目の隙を盗み
足音が ひたり
かかとよりも先へ先へ
逃げていけ 逃げていけ
旅となり
地図にない入口は
この身より狭い
切るも切られるも自由なら
縁ごと切ればいい
折り紙も燃やし捨てた...日本鬼子 - 散り往け桜花
- 1
2