想碕深弐

「ナティビティ・ベッドルーム」
一番星 夢を運んで
はやく僕の元に
街に舞った結晶が
景色を遠い国へ運んでゆく
カラフルに光るオーナメント
みんなご機嫌だ
カラッポの靴下と
期待膨らませ眠れない夜に
オモチャとか お菓子とか...

「花紺青に婚礼を咲かせて」
遥かより響く 青い春の声
二輪車で駆けた細道
益体もない戯け話に頬が緩む
黙りと過ごす日もあったけれど
いつも胸は弾んでいた
晴れ間の中 降る雨のような
雪の中 咲く桜のような
奇特の人心地を憂い偲ぶ
あの日の君に会いたい...

「シナスタジアの空論」
雲上の山々 霧架かる森
異世界への扉 御伽の国
そこで眠ってる
数多の空想 呼び覚ませ
遊園の市街 空を駆ける船
虹色劇場 喋る人形
そこで眠ってる
叶わぬ愛情
遥かな未知への春を告げ...

「後ろ向きの幸福」
崇拝の園に いつも咲いている
眉目秀麗 高潔の士 神々しい理想像
例えその彼が 誰かと結ばれても
あなたの幸せこそ 私の幸せ
I love you I need you 届いて...
そっと瞼を閉じれば 仲睦まじき姿が
手を繋ぎ笑う 後ろ向きの幸福
ふっと僅か目が合えば 尊過ぎて...

「残された春」
まあ愛らしい幻影よ
唯一無二の僕の先導者
代る代る
親指と心臓に救われる
誰彼も解るものか
この荘厳と玲瓏が あの葛藤が
　
「どうだ？ どうだ？」って
声荒らげ 掲げて魅せても...

「監禁されたリリィ」
楽園のようで牢獄のようだな
必要なものはもう揃っている
無気力の渦 惰性モラトリアム
余命幾許のイデア
まことしやかに無垢を晒してる
されど有為転変
変わりゆく見目形
変わらない祈りに目を伏せながら
出して 出して...