みやこの投稿作品一覧
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夕焼けも見えず灰色の空だ
雲のように浮かんだ言葉が
儚く消えて何年が経ったろう
小説なら心理描写だったろうけど
死にたくはないけど死にたいが口癖で
傘はあっても現実の雨に打ち伏せて
代わりにてるてる坊主が逆さに首吊った
無理すんなと嗤っていた
窓の中に雨が見える
閉じ込められた水槽のよう...雨は好きだった
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ハズレくじを引いたような悪天候
雨と涙は混じり合う
傘は自分を守る薄弱な盾だ
口を閉ざして喧騒を遠ざけて
雨雲が空を灰一色にするなら
そこに溶け込んで消えてしまいたい
もういいかい まだだよ
隠した本音探さないで
本で読んだ世界とこの世界大違い
期待も夢も飛んでいない...まだだよ
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毎日進むだけで重労働
現実塞がる壁と押し問答
ましてや生きるなんて過酷すぎる
日々はただ残酷に過ぎる
寝て起きて行って帰ってを繰り返して
平穏という言葉に逃げた
出ておいでって言ってかえって閉じこもったあの子
何故か大人に見えた
後悔がない日は一日もなくて
かつて終わったことを掘り返して...幸せだったなんて
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つのった借金 神様にも見捨てられ
誘拐でもしてやろうって 思ったんだ
薄暗い公園 裸足の女の子
これは運命だって 思ったんだ
抑え込んで捉えた 縄とガムテープ
詰め込んだ車 フルスモーク
やけにおとなしくて
行儀よく座っていたんだ
身代金要求 電話番号
聞き出すためにガムテープを剥がすと...「誘拐」
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人に嫌われることが怖くて殻に閉じこもっていた
どうせ嫌われるなら誰かを傷つけてしまうなら
ずっと一人でいるほうが気が楽だった
それなのに一度人のぬくもりを知ってしまったから
冷たすぎるこの世界
一人でなんて生きられない
僕はどうしたらいい
たすけて
このままこの閉じられた場所で
いっそ窒息してしまえ...窒息
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振り返っても白紙の人生
雪のように足跡があるだけ
でも真っ白なキャンバスのほうが
何色にも染まれるから
腐りかけの絵の具で色を出した
くすみかけのパレットで色を混ぜた
壊れかけの平筆で色を塗った
それでもきれいに見えたんだ
未来を描いて
どんなものでもいい...贋作
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私への詞を書いて
君が言うから考えてみた
君は小鳥が好きで
君は甘いものが好きで
君はアサリが苦手で
君は傘を差すのが苦手で
君は何を飲むのにもストローを使って
君は車に轢かれそうで危なっかしくて
君は以外にも閃き型で
君はよく笑っていて...逆さの檻
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君に届くことない言葉は積もる
紙何枚分にも言葉は積もる
どれだけ内側で叫んでも
どれだけペンを走らせても
想いは届かない
でも
想いは消えない
すべて見せたらどうなるのだろうか
想いは届くのだろうか
受け取ってもらえはしないだろうけど...積もる言葉
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震えた声でお別れを告げるその目には
僕の知らないこれからが映る
楽しかった時間は花火のように輝いては消えて
いつの間にか手からこぼれ落ちる
出会いがあれば別れがあって
別れた数だけ僕らは出会う
きっとそうなんだろうけど
そんなのわかりたくもないよ
お別れなんてまだしたくないよ
言いたいことがまだまだ...じゃあ、またね。
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夢に見るほど あなたを想っていた
愛と呼べるほど あなたを愛していた
愛したいものほど 壊してしまった
壊してしまう度 僕は壊れた
痛いと 泣かせてほしい
嫌いだと 告げてほしい
君を殺して 僕も死にたい
夢は覚めるなら 君も忘れたい
愛したい人ほど 失ってしまうなら
失うのが怖くて 手にしたくなか...あいない
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僕が変わったのか
君が変わったのか
風景が変わったのか
少なからず言えることは
あの日と同じではないということだけ
それは前進と呼ぶには失望的で
それは後退と呼ぶには屈辱的で
どこにも行けないまま
季節にもおいていかれた
僕は変われずに...変わったのか
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腿に赤と白が垂れて
痛みと喪失感だけが残った
畳の目は数え終わって
破り捨てられた服が私みたい
花は散った薄く脆く
私のせいで枯れたんだ
たすけて
閉じ込められた押し入れの壁一面に
爪で書き殴った 殴った 殴った 殴った
あの日の赤は自分の色だ...赤
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もしも明日世界が終わるなら
君は誰と会うのだろうか
もしも明日世界が終わるなら
僕は誰に会いたいだろうか
ありきたりだけど家族とか
親友と呼べる友と遊ぶとか
でも最後は君に会いたい
愛とかじゃなく君に会いたい
話すことなんてない
想いは伝えられない...最後の
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どうせいつか必ず死ぬのに
どうして人は生きるのだろう
ましてや命を奪ってまで
それだけの価値があるかも知らずに
誰もが幸せを求めるから
争って誰もが手にできないまま
幸せの形はそれぞれ違うのに
皆が幸せになれることなどあるのだろうか
最期に人生に名前をつけるとしたら
「幸せ」以外の名前をつけたくない...人生の名前
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昨日と同じような昼下がり
公園から無邪気な子供の声
僕はといえばエナジードリンクと
カップ麺入りの袋を下げ歩く
公園から逃げ出すボール
後を追う白いTシャツの男の子
その先の未来が見えた
トラックが迫っていたから
助けなきゃって心では思ったはずなんだ
思ったはずだったんだ...無題
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鳴いたひぐらし その日暮らし
孤独になり 僕は僕と二人暮し
排水の管に 結露がつたい
部屋は暗い 縛られた鎖
夢への投資も無駄に
生活もすさみ 心も腐り
死神が歌い
捨てた夢がうるさい
耳を塞ぎ いやに虚しい
僕はこれからもこんな僕と付き合っていかなきゃいけない...ひぐらし
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幼い頃はヒーローになるなんて
学校帰り公園に集まって
チープなごっこ遊びをしたっけか
テレビの向こうに憧れていたっけな
あの頃の僕は今じゃひとりだ
記憶の片隅と見比べた
歳を取れば取るほど瞳は
輝きを失い黒く塗られた
理想という傘を畳んで
現実と向き合うだなんて...ヒーローと少年
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春夏秋冬季節は巡る
めくるめく時間の中で
四月の春桜が咲く
枝の先ウグイスが鳴く
季節の一周遠い日々
暖かな風の通り道
揺れる花が告げている
空も同じ季節を知る
春は花たちに尋ねていた
寝ていたあいだのこと...夏秋冬
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君の夢はなんだい?
僕の夢かい?
恥ずかしいから秘密にさせて
いつになったら教えてくれる?
そうだな夢が叶った時かな
じゃあその夢はいつ頃叶う?
わからない叶うかどうかもわからない
それを夢と呼んで どれだけの月日が立ったろう
夢を語ることすらできないまま 大人になった
僕らずっと夢を 見ていたいわ...夢と呼ぶ
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水槽の中の魚が羨ましい
与えられる餌与えられた平穏
空虚さも水で満たされて
そう思いながらエアーポンプを切った
夢を見ている夢を見る
夢から覚める夢を見る
夢と現実が逆だったなら
諦めた夢も実現していたのだろう
多量の睡眠導入剤を
お菓子感覚で口に入れ...永眠導入
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わらを束ねて作られた人形
復讐の目定まらないピント
丑三つ時虫も集い
ホコリのよう心の縁につもり
子供の悪意の集まる場所
好きも嫌いも隠さぬ顔
画鋲入りの弁当
優劣といじめと自己嫌悪
無邪気な刃物を突きつけられて
陰で身体を通り抜けて傷ついた...わら人形
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ガラス越しに見る止まれの標識
僕らを阻むのは常識だった
後悔に足跡がつくなら
同じ後悔を何度歩いたのだろう
届かない思い叶わない願い
空き缶のように転がっていた
タイムマシンを完成させるのは
僕らの焦燥だ
やり直したいと思ったことは何度もあるのに
やり直せたことは一度もない...一方通行
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例えば明日死んだとして
家族や友達が泣いたとして
時が経てば日常に戻って
時々忘れられるんだろうな
欠けたネジは誰かが代わって
元通りに回してくれる
誰かの代わりはいくらでもいて
それは当たり前のことなんだ
これが宝探しだったら必要なのは
宝があるかないかじゃない...いらない人
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かごの中の鳥 高すぎる空には届かずに
飴玉は転がさず 噛み砕いた明け方
恥をかいたあの日も リセットはできないから
後悔ってのは 山積みになる一方だ
身長が足りなくて カバンを引きずる子供
夕焼けに迷子 どこかに行けるのだろうか
過去を忘れたくないものとして
痛みは消えない傷になって
報われない思い...大きさ
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人と違うことは悪だった
皆一歩引いてスマホを向ける
人の失敗に悪口にヘマに
餌が落ちてきた鯉のように群がって
ムカデの死骸に集まる
アリを眺めていた
教室の光景とのデジャヴだ
何も変わらない
無関心というナイフ
誰もが持ってる...他人事の黄昏
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重いまぶたを開いた 視界がぼやける
気づけば寝てしまっていたのだろうか
夢を見ていたのだろうか
耳鳴りが重なり 頭に消えていった夢現は
浮遊してる迷子の 何か名前のないもの
記憶が渦になって 正しさを透かしていく
君はうずくまって 袖を濡らしている
どうしたの 声をかけても 返事はない
どうしたの ...0
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僕の世界には色がない
他の人の世界にはそれがあるらしい
この見えてる世界とみんなの見ている世界は違うらしい
普通はどんな世界が見えてるんだろう
赤色って何?青色って何?
ある時は周りに聞いてたけど
情熱的な色とか暑そうな色とかやる気が出そうな色とか
そもそも色ってものがわからないのにね
それなのに君...無色透明
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添えた花瓶に花
赤い可憐な花
か細い枝の花
白に囲まれた部屋の中
おしゃべりな君はもういない
繋がれた管と機械
無意味な月日だけが立ち
意識が戻る宛はない
伝えなかった言葉達
後悔しても届かない...卑怯者
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昔からひどく寒がりなんだよ
毎日長袖を着てるのは
ひとりの夜に吹く風は
冷たく追い出そうとするから
僕を妻弾く街頭
影を伸ばすだけの街灯
刃こぼれしたカッター
ただ誰かに愛されたかった
浅くカッターを突き立てて
心の代わりに血を滲ませ...リストカット
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冷たい牢の中で思い出していた
天才などと呼ばれ称賛を浴びていた日のこと
ひとり照らされたステージ空虚な目には眩しくて
湧き上がる聴衆いつもの空っぽな光景
とうの昔に自分は死んだ正しくは殺した
譜面をなぞるような日々だった
大人たちに貼られただけの天才のレッテル
今となっては犯罪者とそう呼ばれちまうが...ヴァイオリニスト
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