つのった借金 神様にも見捨てられ
誘拐でもしてやろうって 思ったんだ
薄暗い公園 裸足の女の子
これは運命だって 思ったんだ
抑え込んで捉えた 縄とガムテープ
詰め込んだ車 フルスモーク
やけにおとなしくて
行儀よく座っていたんだ
身代金要求 電話番号
聞き出すためにガムテープを剥がすと
あざのある口元
なぜか嬉しそうだった
「ずっと誘拐されたかった」
それがあの子の第一声
縄で縛られている手首には
いくつもの切り傷と青あざ
「ここじゃないところへ攫って」
言葉の影は色濃く浮かぶ
神もいないこんな世界に
正しさなんてあるのだろうか
木造アパート2階 角から二つ目
四畳半の ワンルーム
縛っておく必要も もうなかった
黙って後ろを ついてくるんだ
痩せこけた身体 お腹を鳴らしている
50円引きの 惣菜を出す
犬のように 口だけで食べ始め
「手を使って良いのは 学校でだけって」
シャワーは何日ぶりなのか
背中はミミズバレ
朝日が影を作り始めて
気づけばまた日没が光を奪った
「誘拐されて幸せがあった」
意外とよくしゃべる子だった
会話のたびにあの子は笑った
あの時間の中で何が分かった
「あの場所には戻りたくない」
あれる場所とあるべき場所
たまたま目を開けたこんな世界に
正しさなんてないのだろうか
アパート前赤いランプが並ぶ
現実社会が迫り来る
大人しくついていくしかない
離される背中にあの子は
「この居場所から離れたくない」
警官の手を振り払った
こんな小さい部屋は
あの子を塞いでいるだけなのに
僕の悪は君にとっての善だ
正しくないことだけが確か
少女が生きるこの世界で
正しいことを誰か教えて
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