NAME-Lessの投稿作品一覧
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『あなたなしじゃ、わたしは』
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「ここで待て」
彼の声がそう私に告げたので、私はそれを受け入れる。
ポーン、発言前のアラームがひとつ。
「イエス、マスター」
遠雷を擬似聴覚が拾い上げるけれど、それを告げる前にマスターは私を置いて建物の中に入っていってしまった。
そう時間がかか...あなたなしじゃ、わたしは
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歌えなくなった。
それは余りにも突然すぎて、その事実をメインコンピューターが認めるにあたり一分間も掛かってしまった。
そんな風になってしまった時点でもう手遅れとも言えるのだけれど、スタッフは急いで私専属の調律師を連れてきた。
ヴォーカロイドのハードタイプとして製造されてから、もう随分と年月が経ってい...Prototype