タグ「応募用」の付いた投稿作品(3)

【小説】昼休みの計画

 基本はチーズカレーの大盛りだ。
 それに七味をたっぷりかける。ガラムマサラなんてシャレたものがあればその方が合うのかもしれないが牛丼屋にそんなものはない。やたらスパイスをきかせたピリピリするカレーに七味の辛さが加わってホットな感じになる。そして微妙にリゾット風味のチーズ。そんなチーズカレーのことが俺は大好きです。
 だが俺とチーズカレーの甘く熱くちょっぴりマイルドな日々は何の前触れもなく試練に襲われることとなる。ナスカレー。それが敵の名だった。俺とチーズカレーの関係に亀裂をもたらす強力な好敵手(新メニュー)出現である。事態は一気に緊迫の様相を呈してきた。嵐の昼休み。十二時すぎのことだった。
 なんといっても三角関係である。昼メロも真っ青だ。俺は内心の動揺を悟られないよう努めて平静を装いながら一旦メニューを閉じ、そしてまた開いた。敵はやはりいた。どうやら夢や幻覚の線は薄そうだ。俺は一息に麦茶をあおった。
 店内はほどよく空調がきいていて、おもての暑気をはらんだ日差しとは一線を画した快適空間を形成している。時節は初夏である。時刻は昼である。俺は空腹だ。だがそうした諸事情はひとまず置いておく。

↓Bさん

↓Bさん

2016/04/17 13:09

【小説】蛙

 雨を眺めるのが好きだ。
 昼であれ夜であれ、ぱたぱたと屋根を打つ音が聞こえると、僕の心は応えるようにさわさわとささめき立つ。それが心地よくて、降り始めのこの瞬間がずっと続いたらいいのに、と思うのだが、なかなかそうはいかない。でもそのあとに訪れる、しとしととした時間も、いかにも雨がここにいますという感じがして心地よいから、やっぱり僕は満足してしまう。
 それで、こうして、今も湿った庭を眺めている。縁側というのは家≪うち≫の中でもなく外でもなく、妙な場所だと思う。開け放した障子から漂う気だるい空気を背中に、外気のしっとりした湿度を額に、いちどきに感じながら、僕はひとつの境界にいる。
 境界に紛れこむものは多い。殊に雨が近くなると、内も外もせわしなく動きだす。自然、境界を行き来するのも多くなる。大勢の駆け足を片耳で聞きながす。はじめの一滴を、僕だけが待っている。
 素通りしないものもある。境界に入ったはいいが、よほど僕が邪魔なのか、あるいは単なる興味からか、蚊やら、甲虫≪かぶとむし≫やら、蟋蟀≪こおろぎ≫やら、猫やら、そうしたものが寄ってくる。おかげで僕は雨音ばかり聞いてもいられない。

↓Bさん

↓Bさん

2016/04/17 12:40

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