タグ「小説」のついた投稿作品一覧(5)
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夏が終わるね
窓の外で蝉が鳴いている。じぃじぃ鳴いている。空が端からオレンジ色に染まる。階段に蝉が落ちていた。ぱさぱさに乾燥しきった蝉の死体を踏むとさくりと音がした。ミクが眉を顰めて僕を見ていたけど気にならなかった。蜻蛉や蝉や蜉蝣ようにすぐに死んでしまうものはどうして生まれてくるのだろう。なにを思い...夏の終わり
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全快した。大尉は意外と早かったわねと褒めてるのかどうかよく分からないことを言いながら、一等お気に入りのボトルを回復祝いと称して置いていき、少佐が本当に治ったのかこのモヤシといいながら僕をどついたぐらいで特にどうといったことはなかったけれど。取り上げられていた愛銃も返却された。今日から隊に戻ることにな...
アンビバレント3 (KAITO・軍パロ注意)
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予想はしていた通りだけど、中尉の位は取り上げられることになった。まあ当たり前だよなと小さく微笑んだ僕に大尉は続けて告げた。その代りと言うのは可笑しいのかも知れないが、今回の件は事情を知っている者だけの秘密になっているから安心しろ、と。大尉が良かったわねと言って僕の肩に手を置いたとき、僕は愕然とした。...
アンビバレント2 (軍パロ注意・KAITOMEIKO)
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僕等は僕等の意思とはなんの関係もなく存在していた。場所はつまり、貴方のパーソナルコンピューターの中、ひとつのツールのような存在として。インストールされた日の喜びは忘れないけど、いつでもアンインストールされるという背中がぞくりとするような恐怖は、ずっと継続して僕等の傍にひっそりと息を殺して佇んでいる。...
ネガティブシンキング
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「事実、僕は―」
天井の低い白い部屋で、やたらと声が硬く聞こえることだけが不快だった。他に別に不快で不快で仕様がないというようなものは今のところこの部屋には存在していない。陽射しをさえぎるカーテン、清潔なシーツ、赤の滲んだ包帯、そしてすぐ傍の椅子には君が居る。
「僕は、君を殺すつもりだったんだ、」
...アンビバレント(パロ・表現注意?KAITO)