夏が終わるね

窓の外で蝉が鳴いている。じぃじぃ鳴いている。空が端からオレンジ色に染まる。階段に蝉が落ちていた。ぱさぱさに乾燥しきった蝉の死体を踏むとさくりと音がした。ミクが眉を顰めて僕を見ていたけど気にならなかった。蜻蛉や蝉や蜉蝣ようにすぐに死んでしまうものはどうして生まれてくるのだろう。なにを思いながら飛んで鳴いて死ぬのだろう。ひとつの季節さえ超えることができずにすっかり乾燥しきってしまうまで鳴き続ける彼らは何のために生まれてくるのだろう。

(そして当然のように僕らはそれを超えていく)

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夏の終わり

干乾びるのは命を燃やして生きていたから


カイトとミク

閲覧数:124

投稿日:2009/08/27 23:11:51

文字数:248文字

カテゴリ:小説

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