-ハートの城(床:カーペット)-

トランプ兵「お、落ち着いてください女王様!」

女王「ええい黙れ! 早く白兎を連れて来い!」

白兎「何を騒いでいるの? 女王様」

トランプ兵「白兎だ!」

トランプ兵「白兎? どうしてここに? 白兎だ」

トランプ兵「逃げ出した! 白い兎は逃げ出した!」

トランプ兵「だけど戻ってきた! 戻ってきた!」

白兎「何だかとってもうるさいね?」

トランプ兵「うわー!」
【逃げる足音】

女王「白兎」

白兎「ねえ女王様。僕はこんな茶番を見せられるために戻ってきたんじゃないよ」

女王「わかっている。娘はどうした」

白兎「娘? 何のお話?」

女王「とぼけるな。娘が、アリスが来ているはずだ」

白兎「確かにアリスは連れて来たけれど、どこにいるかは僕わかんないよ」

女王「白兎」

白兎「なーに女王様」

女王「早くあの娘を探し出せ。そして、殺せ」

白兎「どうして殺しちゃうの? 僕がせっかく連れて来たのに」

女王「だからだ。お前が連れてきたからだ」

白兎「……わかったよ、女王様」

女王「よろしい」

白兎「ああ、わかってるよ」
<消え入りそうに>

<数秒 間を空ける>

-屋敷の庭の手前(地面:土)-
【足音】

白兎「ああ、どうしてアリスを殺さなきゃいけないの? せっかく僕が連れて来たのに。死んじゃったら、意味ないのに」
【足音】

帽子屋「珍しい客人だな」

白兎「ずいぶんと汚れてるね。まるで帽子屋の心の中みたい」

帽子屋「相変わらず減らない口だな。お茶でも飲んでさっさと失せるといい」

白兎「ありがとう、いかれ帽子屋。歓迎しているようで歓迎していないね」

帽子屋「何だ。帰って来たと思ったら、こんなことを言いにここに来たのではないだろう?」

白兎「ああ、うん。もちろん。女王様の命令でね」
【カップが(投げられて)割れる音】

帽子屋「何をしに来た」

白兎「……アリスを殺しに」

帽子屋「何? お前がか?」

白兎「言ったでしょう? 女王様の命令なんだから。当り前じゃないか」

帽子屋「お前には無理だ」

白兎「そんなのわからないじゃないか。でも、だから帽子屋、ゲームをしよう?」

帽子屋「ゲーム、か。まさかクロケットでもするつもりか?」

白兎「ううん、違うよ。はい、これ」

帽子屋「手紙か?」

白兎「そうだよ? ゲームのお誘い」

帽子屋「……ふむ、面白い」

白兎「のってくれる?」

帽子屋「ああ、いいだろう」

白兎「ありがとう帽子屋。じゃあ、またね」

帽子屋「出来ればお前の顔はもう見たくないな」

白兎「そんなの無理に決まっているじゃない。それに」

帽子屋「言ってみるといい」

白兎「ずいぶんと余裕がないね? 帽子屋」

帽子屋「ふ、ははっ。何の話だ、白兎」

白兎「そ、お互い様ってわけね」

帽子屋「何のことかさっぱりだな」

白兎「ああ、やっぱり帽子屋は嫌い。大嫌いだ。この前だって僕の時計壊しちゃうし」

帽子屋「奇遇だな。私もお前のことは嫌いだ。だから時計も壊してやったんだろう」

白兎「ほんと、むかつく」

帽子屋「その言葉はそっくりそのままお前に返そう」

白兎「どうもありがとう。じゃあ」

帽子屋「しかとゲームの誘いは受け取った」

<離れてから>

白兎「帽子屋なんか嫌い。嫌いだ。でも、女王様の方がもっと嫌い」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

第四章/シナリオ

第四章です。

誤字脱字、その他何かあれば言ってください。

閲覧数:287

投稿日:2016/08/13 23:12:24

文字数:1,423文字

カテゴリ:小説

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