第三十四章

…「頂きます」そう二人で手を合わせ、食事を採る事にした私達だ。…「すっごい美味しいね」彼は少しばかり照れたように、にこやかに笑う。…「でしょ?」とお道化た様に笑う彼は相も変わらず、美しい顔をしていた。私は彼に…「肇さん?美味しい食事の時にごめんね?カッターは預からせて貰うけど、大丈夫そう?」と尋ねた。彼は少しばかり不安気な顔になっていた。…「僕…カッターないと不安だよ…」と恐らく今迄リスカに安心感を覚えていたのであろう言葉が出ていた。…「不安になったら直ぐに私に連絡してくれる?」そう答えた私だ。…「いつでも良いから「不安」を感じたら連絡して、ね?」…「…う、うん」素直に私の提案を受け入れてくれた彼がいた。…「本当に何時でも良いから、私と約束してくれる?」私の言葉に安心してくれていたのかは、分からなかったが…「うん…分かった、美月さんと約束する」そう言ってくれた彼だ。…「ありがとう」…「こちらこそ、心配までお掛けしちゃってすみません…」と申し訳なさそうに俯く彼に…「私が肇さんを大事にしたいから、そうさせて、ね?」…「それと私、仕事を在宅にしようと思ってるよ」と私の考えを彼へと伝えた。…「え?そうなの?」と驚いている彼に対し、…「うん、今日会社でお願いしてみる」と答えた。…「それは…もしかして僕の…せい?」と聞く彼に、…「ううん、前々から考えてた事だよ」と私はほんの少しの「嘘」を吐いた。…「そうなんだね、美月さんは頑張り屋さんだから少し会社に行くの疲れちゃったの?」と尋ねてきた彼に対し…「そうかもね」とにこやかに彼へと笑ってみせた。…「そっかぁ、それじゃあ美月さんが在宅に変わったら一緒に物件見に行こうよ」と誘ってくれた。…「あ、良いね、そうしようか」と私も素直に答えた。…「多分1週間くらいで在宅ワークに出来ると思うから、少しだけ待ってて」と彼へと伝えた。…「うん!分かった!」と何だか嬉しそうに笑う彼の笑顔に私迄笑顔が出てしまう。彼はとても不思議な人だな…と思わされる程に、自然と私を笑顔にしてしまう。そんな彼の事を大事にして生きたいと思った私だ。…あれ?彼を大事にして「生きたい?」と不思議な感覚を覚えつつも、…もしかして私…と食事中だったが煙草へと手が伸びていた。煙草を咥え、火を点け考え出した私だ。…「美月さん?ハヤシライス…美味しくなかった?」と聞く彼に笑顔で…「すっごい美味しいよ」と答え、…「少しお腹一杯になって来たから、ちょっと休憩」と笑顔で返事をした。煙草を吸い始めた私は一人の考えに浸り始めた。…肇さんを大事にして生きたい…もしかして私、肇さんの事が…好き?なんだろうか…煙草を深く吸い込み細く長くゆっくりと呼吸をする。…え?どういう事…?本当にこれは好意なのだろうか…纏まらない儘煙草を吸い続けた。2本程立て続けに煙草を吸い終わっても私は答えを導き出す事が出来なかった。…今は分からないや…ハヤシライス食べよう…そんな思考へと移行しつつ…「休憩はおーわり」と半分程の残りのハヤシライスを食べ始めた次第だ。…「ね?美月さん?美味しい?」と聞く彼に、私は…「とーっても美味しいよ」と答えた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

最期の夜月

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投稿日:2025/10/16 05:58:48

文字数:1,332文字

カテゴリ:小説

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  • kana691215

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