「へっ…なんだよ、それ」
俺は思わず笑っていた。
強がりっていうよりか、あまりにも突拍子も無い事なんで頭が受け入れてくれないような感じになっていた。でも、それは全部現実だったんだ。俺の身体はどこにもないし、今、全然病院とか関係ない場所にいるし、なにより俺の身体は女の子になっている。そしてテレビには家族が死んだ事を知らせるニュースが流れている。テロップには死亡した人間の名前が並んでいた。その中に俺の名前もあった。
「葛城公佳(かつらぎきみか)…これが君の名前?」
俺はデブのその問に無言で頷いた。
「家族の事は…不幸だったね」
「テロってなんだよ?なんでテロって分かる?ニュースじゃ事故って言ってるじゃないか…」
「この道路の横にある黒いシミみたいなの。これは一見すると爆発した際に火が飛び散ったように見えるかも知れないけど、兵器のプロから言わせればこれは違う。レーザー砲のカーボン痕だよ。これだけの高出力レーザーを打てるのはそれなりの装備、というか、電力が必要で、それを撃てるのは今のところドロイドのみ。そして普通の犯罪者はそれだけの装備を準備出来ない。つまり、どっかのテロ組織が関与している」
「そいつらが…俺の家族を殺したのか」
「君の家族だけじゃない。そしてこれからも誰かの家族を殺していくだろう。どうだい?僕が悪と闘うっていう意味がわかってもらえたかい?」
「…わかった。わかったよ。協力するよ。それと、ひとつ教えて…。なんで俺を選んだんだ?他にも犠牲者が居たでしょ?」
「…ふひっ。それはね、君が一番『生』への執着が強かったからだよ」
俺はしばらくデブのほうを見ていた。そしてはっとして…。
「お前、犠牲者全員を見て回ったのか?」
「あぁ、うん。即死の人以外はね。君の目は潰れていたけど、怒りのようなものを感じたよ。燃え上がる車内の中で何を思ったのかね。思い出さないのかい?」
「思い出さないんじゃなくて思い出せない…」
「そっか。そうだ、自己紹介がまだだったね。僕は石見佳祐(いわみけいすけ)。とりあえず今は名前だけ。ふひ」
俺はその石見の大きな手を握って握手した。
悪と闘うか…。
でも俺にとっては悪と闘うっていうのは、このデブが言っているような『正義』っていう綺麗な言葉には収まりそうにない。ふつふつと復讐心が沸き上がってきた。いまこうしている間にも俺の両親を殺した奴は生きている。ひょっとしたら祝杯でもあげているかも知れない。そう考えると、すぐにでもその野郎をひっ捕まえて同じ様な苦痛に会わせてやってあの世に送ってやろうとしか思えなくなったんだ。

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1 ドロイドバスター・キミカ誕生 8

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投稿日:2011/08/22 23:02:47

文字数:1,084文字

カテゴリ:小説

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