あの出来事のあとも私達は友達ではいたけど、確実に以前よりも心が離れてしまった。
そんなある日また事件がおきる。
ユカはある男子に恋をしていた。
私もそれは知っていて応援していた。
ユカはバレンタインデーに好きな人にチョコをわたした。
ホワイトデーの日にロッカーでユカと私はユカの好きな男子と会う。
「2人ともおはよう!ユカちゃん、これお返し!」
ユカが喜んで受け取る。
「俺、将来パティシエになりたくて昔からお菓子作るのが趣味でさ!よかったら食べてね!」
なんて女子力の高い男の子だろうと思うと同時に、微笑ましいその光景を私は見守っていた。
「あ、カエデさんもよかったらどうぞ!今日はホワイトデーだからクラスのみんなや先生達に渡そうと思っていっぱい作ってきたんだ!」
優しさや気遣いもある男子だ。
ユカはステキな男子に恋をしたものだ。
もしかしたら付き合う可能性もあるし、色々あるけどユカの恋を応援したい。
私はお礼を言ってお菓子をうけとる。
その男子は登校してきたクラスメイトを見つけ渡しに行った。
「よかったねユカ!」
なんだか私まで嬉しくなる。
「・・んで」
「ユカ?ごめん、聞こえなかった。何て言ったの?」
ユカがゆっくり振り返り私と目が合う。
その顔はとても嬉しそうな顔をしていない。
「どうしたの・・?」
私はわけがわからずたずねる。
「何で・・、何で・・」
とても低い声だ。
「何でチョコあげてないカエデがお返しもらえるのよ!!」
その鬼のような怒りの表情でにらまれた私は、怖くて動けなくなってしまった。
少しずつ心の距離は離れていき、私達が話すことはなくなった。

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春の楓(6)

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投稿日:2023/03/15 22:24:30

文字数:689文字

カテゴリ:小説

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