・胡蝶の哀（裕　さん）
　たびたびお世話になっております！書き慣れない雰囲気の作詞ということですが、結構うまくまとまっていて面白い歌詞になっていると思います。タイトルでかなり惹きつけられましたし、使われている言葉も詩的で綺麗だと思います。しかし、歌詞の中で景色が色々と変わりすぎて置いてけぼりされたような感じを受けてしまいます。場面や時間帯、空間をもっと限定した世界の方が僕としては好みです。メロディと言葉のからみに関してはサビのフレーズ「並べ立てて　並べ立てた」のところが個人的には少し苦手かもしれません。ただ言葉の数々は非常に上手く選べていると思います。配置と、それらをどの言葉でつなぐかを考えればもっと良くなると思います！

・[last/rust/lust]（杳-haruka-さん）
　独特な世界観が展開されていて、実際に曲に合わせて詠んでみたときに凄く楽しめました！異世界を訪ねているような気持ちになる歌詞ですね。サビのフレーズ「流れたまま　止みもせず」がかなりピタッとはまっていて気持ち良かったです。タイトルですが、どうせならどれか一つに統一してしまった方が個人的には良かったです。なんだかタイトルにはあんまり詰め込みたくない派ですので。後は、歌詞の方向性が途中で大きく変わってしまっているのがちょっと苦手です。どうせならそのままダーク路線で最後まで行って欲しかった！

・レトロワールド（かろせさん）
　解説文ありがとうございました！なんだか、まず曲に合わせて詠んでみたところ文字数がちょっと足りないかなという印象。文字に残された記憶という歌詞内容に関しては不思議で面白かったのですが、僕の理解力ではあまりぱっと曲の世界が浮かんできませんでした。表現したいものの色や質感のようなものがもっと鮮明に思い浮かぶような歌詞の方が個人的には好きです。でも、逆にこういう不思議な、地に足のつかない詞をかけるセンスはすばらしいと思いますよ！

・Fall in G 10’s（がらんさん）
　オトナな雰囲気の歌詞で素敵ですね♪最初のワンフレーズで凄く引きつけられましたが、サビの最後「真夜中の逃避行」のフレーズの語呂の悪さがどうしても気になってしまいました。メロディとの兼ね合いで、違和感だったり、インパクトが薄いような印象を受けてしまいます。その他ところどころ語呂が悪く感じるところはありましたが、テンポや内容など全体としてはかなり良く出来ていますし、頭の中に浮かび上がる景色も鮮明で楽しめました。何より選んでくる言葉の数々にセンスを感じます！

・ONLY MINE（ナグモグラさん）
　カラカラとね。素敵な詞になっていると思います。「糸」とか「ツギハギ」という言葉から薄暗い部屋の中で織物をするような情景が浮かんできました（歌詞の内容とは関係ありませんが汗）。言葉から一度世界が浮かび上がると、その詞は詠んでいて非常に楽しいものになりますね。言葉の選び方も儚げで美しく、非常に良いと思いました！ただ、ちょっと語呂が悪いところが見られます。サビのフレーズ「キミオモカゲ」のところは個人的には苦手なリズムでした。でも歌詞の作る世界に関しては申し分なく、とても楽しめました！

・つづくものがたり（月永遠さん）
　おとぎ話のイメージ自体は僕もこの曲に対して持っていましたが、この歌詞はおとぎ話の存在自体に関する歌詞になっていますね。なかなか解釈もできて面白かったのですが、できればもう少し踏み込んでおとぎの世界に連れて行って欲しかったかもしれません。どうしても解説的な歌詞になってしまうと色鮮やかな世界というものが想像できなくなってしまうので、ちょっともったいなかったかなという印象です。メロディに対して言葉を乗せるということに関してはなかなかうまくいっていると思います。

☆猫と椿と恋の路（ふぎさん）
　お世話になっております♪ネコ可愛いですｗ　割と明るめの歌詞になっていますね。今回の応募ではあまり見ないタイプだったので新鮮で楽しめました。最初の語り口調のところがまた面白くていいですねー。頭の中の妄想がうまい具合に広がります（笑。ただいくらかもったいないと思う個所もあります。一番見ていて気になったのはサビ「輪廻変えられるらしい」のフレーズ。他が良かっただけにこのフレーズのもたっとした違和感が強く感じられました。しかし全体では良くまとまっていて、明るめな歌詞なのに曲の雰囲気を損ねておらずすばらしいと思いました！リフレインというかパート毎のすみ分けも上手にできていますね。

・異邦人－etranger－（月子さん）
　最初の数フレーズで頭の中が迷子になりました（笑。矛盾するような時間だったり存在だったりが色々と出てきて解釈が難しいですね。正直なところ僕の理解力では「良く分からないけど異国とか旅っぽい曲？」みたいな曖昧なイメージになってしまいました。歌詞が難解でよく分からない曲も実は好きなんですが、僕としてはもうちょっとふわふわした分からなさ（？）の方が嬉しかったです。あと曲の中にそんなに異国っぽさを感じさせる要素は入れていないつもりだったので、ちょっと曲に合わないかなという印象も受けました。なんかもう色々とすいませんorz

・ひとりぼっちのコーヒー（秋間はみかさん）
　可愛らしい詞になっていますね。サビの歌詞の統一感も素晴らしいですし、多くを語らず背景を視聴者の想像にゆだねるような歌詞も素敵です♪Bメロまでのメロディと歌詞との調和はかなりとれていて良かったのですが、サビの最後の繰り返しのフレーズで「甘いコーヒー」と出てきたときの語呂の悪さが目立ってしまいます。もう少し跳ねるようなメロディに合う歌詞になっていれば嬉しかったですね。ただ、世界の表現や舞台設定などは上手くまとまっていて好感が持てますー。

・HEARTILY（NOBU（大問題P）さん）
　まさかのNOBUさん登場に驚きましたｗ　しかも他の作詞家さんの中にも負けないクオリティで仕上げてくるあたり凄いと思います。メロディに対する文字のはまりがところどころしっくりこなかった部分もありましたが、歌詞の区分けもきちんとできているし、言葉の数々から浮かび上がってくる世界も幻想的で美しいです♪僕が物申せる分際ではありませんが、物足りないと思ったのは、どうせ幻想的な世界なんだからもっと色々な景色が見られたら嬉しかったです。水が浮かびあがったり空が剥がれ落ちてきたり。

・クラックライム（アセルフィッシュさん）
　ちょうどアセルフィッシュさんの素材をブックマークした直後だったので、作詞をなさるとは思っておらず驚きました！多才ですねー。歌詞の内容に関してですが、言葉もうまく、テンポよくメロディにのっていて良かったです。思い出の描写が多いのですが、それらから鮮やかな世界を連想出来なかったというのがちょっと残念だったかも知れません。ぼんやりとしていて…それを狙っているところもあるのでしょうが、具体的な風景を表してくれるような言葉がもっと入っていた方が個人的には好みです♪あとはサビの最後の跳ねるようなフレーズに充てられた歌詞「右手から　瞳から」で、文字数が一つ足りていないのが気になりました。長音になってしまうとまたイメージがちょっと変わってしまうと思うので、ここは何か別の言葉を選んで欲しかったですね。でも、こういう形の無いものを歌詞としてまとめるセンスは素晴らしいと思いました！

・Alice in The Reversed World（奈月さん）
　アリス良いですねー。世界観がタイトルの時点である程度固定できたので、歌詞を詠んでいくときにすらすらと解釈出来ました。内容に関しても面白くて良かったです！反転世界もやっぱりカオスなんですね。世界観や、持ってくる言葉など全体的に良いのですが、文句を言うとすればメロディに対する言葉の乗っかり方がちょっと引っかかったかもしれません。なんというか、このように元となる世界がある場合の歌詞ってどう評価するべきなのか悩みます（汗。

・The heart of tin（やひろさん）
　ぽつぽつという感じの歌詞ですね。他の作品とは別なベクトルで可愛らしい（あどけない？）感じになっていますが、これはこれで意外性があり新鮮で楽しめました。しかし曲調が「雪、雨、秘密基地」と言った感じの歌詞に合うかどうかと言えばちょっと微妙。綺麗なんだけど採用するかどうかという点ではちょっと悩んでしまいます。あとはメロディに対する歌詞のはまり具合がちょっとよろしくないです。例えばA「鳥は見つからない」のフレーズなんかは、後半がもたつくような印象を受けてしまいます。

☆最後の晩餐- the last supper -（シンバシさん）
　たびたびありがとうございます！歌詞、非常に上手く出来ていてぱっと見た感じ好印象でした。景色も散らばらずに上手くまとまっていますねー。歌詞も曲から外れていませんし本当に上手だなと思います。よく出来ている分ちょっと気になったのが最後のフレーズ「最後の晩餐」です。最後を「ん」の音で伸ばして締めくくるというのはちょっと終止感が弱かったかもなという印象でした（これは本当に作曲側のわがままなんですがorz）。テーマ設定など独特で、描写も素晴らしいと思います♪

・ずぶ濡れダンスホール（あか＠復活さん）
　久しぶりの作詞で苦労されたようですが、かなりうまくまとまっています。曲の雰囲気をうまく掴んで自分の世界を展開できているのがすばらしいと思います♪　描写もうまく、非常に綺麗な世界が浮かび上がってくるようでした。視点が男性視点と女性視点で途中で入れ替わっているのですね。しかし、どこで変わっているのかちょっと判断が難しかったです（すいません；；）。メロディと歌詞とのマッチングがもう少しうまくとれていればさらに良かったと思います。たとえばC「リズム刻む」のところは個人的には苦手でした。




・総括
　まずはこんなに歌詞が集まるとは思っておらず驚きました。実力ある作詞の方々に愛されて僕は本当に幸せ者です！採用作品は一つですが、皆さんの作品を一つ一つ見ていくと、それぞれ違った良さがあって「歌詞はこうであれば良い」という単純な指標は作れないということが分かりました。
　歌詞に対して個人的な意見を色々と述べていますが、僕なんてそもそも作詞が出来ないから募集をしているのです。そんな僕が作詞様の作ってきてくれた歌詞にダメ出しなんてできるはずがないのです。僕の評価を見て「こいつ分かってないな」と思うこともあるかもしれません。そういう時はきっと、本当に分かっていないんです（←オイ）。僕の意見は、参考に出来るところだけ参考にして、皆さんの意見と違う場合は「こう考える人もいるんだな」くらいに思っていただければ嬉しいです♪

　面白くて引きつけられる歌詞とそうでない歌詞。本当に些細な違いなのですが、曲に合わせて歌詞を詠んでみて自然に景色が頭の中に浮かび上がる詞っていうのは凄く素敵に聞こえるんです。僕の今までの人生の影響がどの程度あるのか分かりませんが、世界が頭の中に思い浮かぶような詞とそうでない詞の違いは音とか色とか、その空間を連想させるような素材が歌詞の中に散りばめられているかどうかっていうのが大きいかなと思います（さらに連想される世界が好きかという問題もありますが）。
　色々と語呂が悪いとか評価の中で述べていますが、それらよりも優先して持ってほしいのが、上のような世界観のしっかりした作品を作るという意識です。曲と歌詞で合わさって、それが作る風景のようなものが、僕は重要だと思っています。一曲の時間は短いです。だから、その中で話をあまり広げてしまうと全体的な密度が薄くなってしまいますね。あらすじだけ聞かされるような感じです。そうなると、曲や歌詞自体のメッセージ性もなんだかぼんやりしてしまうような気がして個人的にはあまり好きじゃないんです。

　色々書いておりますが、結局一番大事なのは自分のやりたいことをやるということだと思います。それが僕の感性に合うか、合わないかの問題であるとすれば簡単な話ですし、僕の話を真に受けて、それぞれの個性が無くなってしまうのが一番もったいないです。
　ともかく、この度はみなさん色々と手を貸していただいて本当にありがとうございました！参考になる作品もいっぱいありましたし、見ていて本当に楽しかったのです。活動は細々と続けていく予定ですので、もし今後、歌詞募集を見かけた際にはちらっとのぞいてやってください♪