脱出型椎間板ヘルニアP様の『プライマリーキャスト』の二次創作SSです。
今、地球には一体何人の人間が生きていると思う? もうすぐで70億人だそうだ。僕がもっと幼かった頃には60億人って習ったような気がする。人類は未曾有の人口爆発の時期を迎えている。
だというのに、僕は、一人ぼっちだ。
ボールペンを放り出す。
楽譜――楽譜とも言えない、メモのような落書きのようなイメージの走り書きの上にころころと転がり、ゆっくりと止まる。
そのペンの先がさしていたのは、歪(いびつ)なハート型だ。
好きなひとがいる。
70億人の中で、一人ぼっちの僕が、70億人の中から見つけ出したたった一人の好きな君。
情けないことに僕は君に話しかけることすらできない。
こうして君への思いを勝手に募らせて歌を作って部屋でそっと歌う。
テレパシーがあればいいな、なんて思うこともある。
――それはなんて虚しい考えなんだろう。
ほんの少し開けた窓から風が吹きこんでカーテンを揺らした。
空が遠い。
これが僕と君の距離?
誰とも繋がれない僕と僕以外のひとの距離?
僕を閉じ込める部屋の、僕が閉じこもる部屋の、世界が作り出した距離?
窓辺に近づくと、シャボン玉が見えた。
きっとどこかで子どもが飛ばしているんだ。
その子はシャボン玉の歌の本当の意味をきっと知らない。
儚いシャボン玉のように命を散らした子どもを嘆く歌。
僕の目の前までただよってきたシャボン玉は、ぱちりとはじけた。
嘲笑うようにはじけて消えた。
意味?
意味に、何の意味がある?
シャボン玉の歌は、大勢の人が知っている。
たとえ何が伝わらなくても、知られている。
愛されている。
繋がっている。
狭い狭い僕の世界。
伝わらない歌。
伝わったシャボン玉。
――テレパシーなんかに頼ってちゃいけないんだって、儚かった子どもが耳元で囁く。
僕はパソコンを立ち上げた。
まだ世界に踏み出す勇気なんてない。
けれど、とても近いそこに、一歩目を踏み出すのを待ってくれている世界があるはず。
ねぇ、君、待ってて。僕はきっと君のところへ行くから。
ひとりぼっちの僕が信じる、ひとで溢れた世界には、きっと色んな気持ちが溢れてて、僕はそんな世界に憧れて、いじけて、でも、それでも君に到達したいんだ。たとえこの気持ちが嘘だとしても、それでも君に到達したいんだ。
ひとりぼっちの僕とひとであふれた世界 1
脱出型椎間板ヘルニアP様の『プライマリーキャスト』の二次創作SSです。
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