闇に浮かび上がるその姿。
掠れ艶めき、囁かれる声。
微かに香る、薔薇の芳香。
唇に残る、自分以外の味。
戸惑い触れる、その指先。

感じた分だけ狂っていく。
穢れ澱みに犯されたカラダ。
何もかもが悲劇の様な惨劇。
貪りながら、傷痕を嘗め合う。
蒼白い月夜の翳に隠れる様に。

愛情、満ちて溢れて、留まること無く。
欲情、零れて流れて、消えること無く。

哀しみの淵に沈むその瞳。
漏れ出る溜息の様な吐息。
変わらない、安息の香気。
飲み干す、甘やかな花蜜。
快楽と淫楽を、誘う過熱。

触れた分だけ乱れていく。
叫び喘ぎに満ちてくカラダ。
何もかもが喜劇の様な寸劇。
傷痕を嘗め合いながら、貪る。
紅黒い月夜の表に現れる様に。

熱情、交して熔けて、残ることは無く。
恋情、想って秘めて、伝えること無く。

視覚が捉えた姿は、ひとつ。
聴覚が捉えた声は、ひとつ。
嗅覚が捉えた香は、ひとつ。
味覚が捉えた味は、ひとつ。
触覚が捉えた肌は、ひとつ。

禁忌を犯し、境界線を越えて。
喩え何時か引き裂かれようと。
喩え何処の淵を彷徨おうとも。

五感総てが忘れ去るとしても。
第六感に刻まれた記憶だけは。
憶えている、残り続けている。

闇に浮かび上がるその姿。
掠れ艶めき、囁かれる声。
微かに香る、薔薇の芳香。
唇に残る、自分以外の味。
戸惑い触れる、その指先。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

感覚の記憶

閲覧数:136

投稿日:2010/06/23 16:19:45

文字数:581文字

カテゴリ:小説

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