僕は、こんなお金なんか要らない。
リンといたいんだ。

リン、どうして?
リンは僕が嫌いになったの?
僕は、もう一度リンに逢いたいよ……。


僕はひたすら勉強した。
リンに逢いたくて。
もう一度、あの生活をリンと送りたくて。

2年の月日を要して、僕はようやくこの研究所に入所することが出来た。
リンが勤めている研究所がどこなのか。
何を研究している場所なのか。
たくさん調べて、ようやく辿り着いたんだ。

なのに、リンはまた僕の前から逃げようと言うのか?
今度は、許さない。
核融合炉には僕だって関わっている。
君だけが飛び込むなんて、僕は絶対に許さない。

リン……。



目の前に広がるライトテーブル。
全ての操作がここで間に合ってしまう。
もちろん、融合炉の起動も。

スイッチを入れると、ただの闇だった四角いスペースは息を吹き返す。
慣れた手つきで操作を進める。

いよいよだ。
ここから、全てが始まる。
終わりは、始まりと表裏一体。

レン、ごめんね。
あの生活を、もう一度送りたかったけれどダメみたい。

白衣の内ポケットから、パスケースを取り出す。
その中には、1枚の写真が入っている。
2年前、大好きな弟と撮ったものだ。

あの時だけは、幸せだったよね私たち。


目を閉じて、深呼吸をして。
私は、融合炉を起動させた……――――。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

炉心融解 ~melt down~ 7

もうそろそろクライマックスです。
世間で言う、最終章です(笑)

リンちゃんとレンくんの行方をお楽しみくださいませませ~

閲覧数:213

投稿日:2010/06/13 14:23:11

文字数:580文字

カテゴリ:小説

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