捲れた本には栞を、と。
嵩んだ本には重石を、と。
代わりに本を積み重ねて、落ちた本は踏み台にした。
煤けるよりかは良いだろう。
触れないよりかは良いだろう。
そう言って、君は指を切る。
そう言って、君は涙する。
曖昧に朝が来て、なだらかに夜と会い、暁の空にさえ気付かずに眠る姫。
寄る辺なく凭れた背は、冷えた布に預けよう。
城はいつか解けるから、その日までさよならを。
目覚める前に枯れぬように、目覚めた後に散らぬように、如雨露に溜まった天水と少しの陽だまりを残した。
君は問う。
「寒くない?」
君は言う。
「今いくよ」
「あと少し、待っていて」
指切って涙した、あの日の君はもういない。
眠る姫は夢を見る。
しろはいつかとけるから、そのひまでさよならを。
時計の針は凍らずに、緩やかに時を刻む。
白はいつか溶けるから、その陽までさよならを。
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