―僕は灰猫。
(ねぇ、見て。あの子鼠みたい。)
(ホントだわ、汚い色ね。)
―聞こえてるんだけど。
でも僕は気にしない。悔しくなんかない。僕はこの色を気に入ってるから。
(アイツ、中途半端な色だな。)
(ハハッ、ホントだ。)
―陰口なんてみっともないな。堂々と本人に言えばいいのに。
陰口を言われたって、僕は悲しくなんてない。この色は銀色だから。
「おい、オマエ。」
「…何?」
最近、この辺りを仕切ってるヤツだ。
「オマエの色、汚いな。」
「…だから?」
「汚い色のくせに、生意気なんだよ。」
―何様のつもりだよ。それに…
「僕の色は汚くなんかない。僕の色は銀色だ。」
「何口答えしてんだよ!」
いきなり殴りかかってきた。僕はそれをかわす。
「テメェ、避けてんなよ!」
「避けないと、痛いじゃん。何言ってんだよ。」
「次は当てる!!」
―理不尽でムカつく。だけど…
「僕はケンカとか嫌いなんだよね。ゴメンだけど…。」
そう言って僕は走り出した。後ろから、声が聞こえてくる。でも僕の方が速い。アイツになんか負けない。カモメよりはやくはやく、駆け抜けるよ。
「はぁ、疲れた…。」
ここまで来れば、大丈夫だろう。…前から誰か来る。
「あなた何してるの?」
「僕は、」
「わぁ!キミ銀色なのね。」
「えっ…」
びっくりした。僕の色を銀色って言う子がいたなんて。
「まるで銀の王様ね。」
「そうか、な。」
「えぇ、そうよ!」
―そうか、僕は銀の王様なんだ。なんて誇らしいんだろう。
――僕は灰猫。銀の王様。――
コメント1
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禀菟
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謝らんでいい!!
可愛い、なんか可愛いww
銀色かぁ…感性って大切だね(*^-')b
2011/04/05 20:36:26