おはようございます。『ネットワークGU3』のお時間です。
　まず最初のニュースです。昨日、山田さんの家に泥棒が入りました。皆さんお気を付けください。
　では、続いてのニュースです。




≪ハートブレイク・ヘッドライン【自己解釈】≫



　キャスターのグミです。では、ニュースです。
　昨年2011年の失恋人口にかんする調査結果がキューピッド・クリエイト社から発表されました。年間の失恋人口はおよそ1200万人で、2010年度と比べて3.8％の増加となり、５年連続の増加となりました。
　これはつまり毎分23人が振られていることになります。このニュースを話している間にも日本のどこかで尊い恋が失われており、国の対応が求められることになります。
　しかし。
　この数字はあくまでも当番組での結果であり、何一つ正確な調査や統計は含まれておりませんのでご注意ください。
　では、それをどう対処すればいいのか？　例を見ていきましょう。お願いします。
　……はい、ご覧いただけているでしょうか。画面に映っているのは去年の八月に公開された映画の映像です。大丈夫です、ちゃんと許可は取ってます。
　この映画は先生が生徒に恋するものでありますが、まあなんというか面白いですね。コメンテーターのみなさんもどう思いますか？
　え？　……ゆかりさん、その発言はどうかと思いますよ？　生放送ですし。いや、ナマですから！　カットとか無理ですよオフレコって言われても！



『しばらくお待ちください』




　……えー。大変失礼いたしました。まあ、簡単に言えばですね、誰かを愛することで救われる恋がですね、仮にあるとするなら。その清く素晴らしい愛は世界を変えられるのかもしれないですね、はい。
　次の例を見てください。これも映画ですねえ。少年の目の前で少女が心を奪ってそして消えてしまう。ええ、ありがちですね。けど彼はきっと悩むでしょうね。彼もそうでしょうし、それを見た人もです。そして日本の国内生産は平年を下回るでしょう。ちょうどこのデーターのように。
　はい、しかしこの仮定には何一つ明確な根拠や証明は含まれてませんので苦情来ても無視します。ご承知おきくださいね。
　まあ、つまり貴方が誰かを愛することで……。









「もう、いいかな」








　……救われる恋なんてどこにもなくて、その清き愛じゃこの世界は変わらない




　かもしれませんが。




　明らかにその言葉を言って、スタジオがざわついた。けど私は話をやめない。





　貴方が誰かを愛すことで、あなた自身が救われるなら、
　その清き愛はこの世界を変えるのk――





『しばらくお待ちください』





「なんであんなことを話したんだ！　君は台本だけを読んでれば……」
「はい、すいませんでした」
「まあ、いい。次からは、こういうことのないように」
「失礼しました」

　そう言って女性は扉を閉める。


「――その清き愛はこの世界を変える……のかもしれないし、ないかもしれない。そんなこと、あなたの決断次第だよね」

　そう言って女性は廊下を歩いていった。